十勝千年の森　🐐 大自然を体感できる北海道ガーデン、見て食べて楽しめる今話題のキッチンガーデン、大自然の中でヤギを飼育しているファームガーデン。オノヨーコら、世界トップクラス７名の現代アート展示、不思議な乗り物セグウェイ体験など

ファームガーデン/農の庭 訪れる人々に「農と食と庭のつながり」を感じてもらう場

キッチンガーデン 緩やかに傾斜する地形に合わせて造られ、まるで畑を切り取ったかのようなレイズドベッド(上げ床花壇)が美しく点在し、立つ場所によって高さが異なり、さまざまな角度から野菜たちが育つ姿を見ることができる

ローズガーデン　🌹 レイズドベッドをシンプルに配置したローズガーデンは小果樹を栽培するオーチャードとつながるように造られ、ひとつの風景となる。ところどころに置かれた大きな麦飯石が山のローズガーデンらしい雰囲気を漂わせる。ベッドの中にイングリッシュ･ローズを植栽し、それ以外のエリアに原種のバラやオールドローズを系統ごとに植栽。イングリッシュ･ローズはひとつのベッドに同系色の品種を２〜３種を組み合わせ、全体で見ると色のグラデーションが楽しめるようになっている

オーチャード(果樹園) リンゴを無肥料･無農薬で育てる自然栽培の第一人者木村秋則氏の農法をベースに庭としての景観を重視して造るアップルガーデンと、ブルーベリーやハスカップ、ラズベリーなどの小果樹を栽培する２つのエリアから構成されている。ローズガーデンからつながりを持ってデザインされ、散策する人々は風景の移り変わりを楽しむことができる

ゴートファーム 十勝千年の森のチーズ工房では国内では珍しくヤギの生乳からチーズを製造している。雄大な日高山脈の麓の放牧場ではヤギや羊がゆったりと草を食む牧歌的な風景が望める

アース･ガーデン/大地の庭 波打つ芝の丘が日高山脈と一体となり、圧倒的なスケールを持って目の前に広がる。人が自然の一部なる風景と、遊び心に満ちた空間を演出している。イギリス･ガーデンデザイナーズ協会The Society of Garden Designers主催SGD Awards 2012でGrand Award(大賞)とInternational Award(国際賞)を受賞した。ランドフォームはCUT&FILL(切土と盛土)の工法によって造成され、法面は約45度の勾配を持つ。その角度と太陽の光によって陰影が生まれる。風が吹けば法面の長く伸ばしたグラスが一斉にそよぐ風景が広がる。ランドフォームの大きさや高さ、配置、勾配は、ダン･ピアソンと高野ランドスケーププランニングとのコラボレーションによって、綿密に計算され、検討が繰り返された

フォレストガーデン/森の庭 森の中でひっそりと眠っていた草花の生命力を生かし、さまざまな視点から森の新たな楽しみ方を発見する場。川のせせらぎや鳥の声に耳を澄ませば、ゆったりとした森の時間が流れる

メドウガーデン/野の花の庭 十勝の大自然からインスピレーションを受けてつくられた庭は、自生種と園芸種の草花が美しく調和し、季節ごとに繊細な表情を見せる。イギリス･ガーデンデザイナーズ協会The Society of Garden Designers主催SGD Awards 2012でGrand Award(大賞)とInternational Award(国際賞)を受賞

石の記憶　デザイン：中谷耿一郎 土と植物以外で唯一この敷地に存在する素材ともいえる麦飯石(ばくはんせき、花こう斑岩の一種)のみを使った寡黙な造形。麦飯石のもつ柔らかな表情がシンプルな構成の庭に温かさや空間としての豊かさをあたえている。端部が地面に消えてゆく低い石積みと石畳からなるランドスケープ

あなたに会いたくてー楡の木蔭の庭で　デザイン：白井温紀 十勝の馬文化に着目し、馬を飼う家族の物語を題材に構想を練った。作者の住む十勝管内大樹町でオーガニック栽培の農業者とも交流を重ね、食文化も尊重した庭

身土不二2012夏 北海道　デザイン：竹谷仁志 身土不二。「自分自身と周囲の環境は一体」という意味の仏教用語。ミズナラ、ヤチダモの暗く深い森を抜け、ヤナギの枝で編んだ小間に立つと光輝く牧草地が目に入る。北の大地に託した先人の夢が、日高山脈の大自然に連なる美しい風景となって広がる。小川のせせらぎに時の流れを重ねながら、樹上のオオルリやキビタキの囀りに耳を澄ませて目を閉じると、千年の時の音(ね)が聞こえてくる。清涼な気に包まれて牧草地の遠くを見ると、視線を受けとめるシラカバが日高の山と紺碧の空へと心を誘う

クロッシング　デザイン：ダン･ピアソン 訪れた人々は木漏れ日の中、自然の森を通り、庭へ。柔らかな園路を進み、２本の木の間を通って空間に入ると、庭は静かに姿を現す。空間に弧を描く木道は、ここが単に手つかずの自然ではなく、穏やかに育まれた森と人の営みがあることを表す。時間をかけて手入れすることで、林床は野の花の豊かな植生に育っていき、訪れる人々は皆、その移り変わりを目の当たりにする。静けさに満ちた空間に身を置き、小川のせせらぎに耳を澄ませば、カツラの木の甘い香りと草花に包まれる。木道の側に置かれた水鉢の水面に光と空、山々の景色が映し出される