群馬県太田市にある曹洞宗の寺院です。 見どころは国重文の栄螺堂(さざえどう)のみと言って差し支えありませんが、その栄螺堂がなかなか魅せます。 栄螺堂とは二重螺旋構造の回廊を堂内に備えた仏堂で、仏教の礼法に則って堂内をのぼりつつ右回りに三回匝り(めぐり)、ずらりとならんだ仏像に拝し、その後は堂内をおりつつ右回りに...
Read more数年前、太田市に「さざえ堂」があると聞いて調べましたが、直ぐに見つけられませんでした。その時はGoogle mapの表記が✳「曹源寺」となっていたからです。そこでお寺の表記を正式名称に改めました。 「曹洞宗 祥寿山 曹源寺. (さざえ堂).」 へ...
Read moreマウリッツ・エッシャー(M.C. Escher)の版画の中に立ったかのように、目の前の螺旋は永遠に巡る回廊に思えた。上りも下りも終わらず続くラビリンス空間…
私の第一印象。曹源寺(さざえ堂)の山門をくぐった瞬間、そこはただの静かな寺の佇まいに思えた。どこにでもありそうな地方の寺院… そう思ったのだ。
しかし、観音堂の扉を開け、中に足を踏み入れると印象は一変した。外からは二層にしか見えない建物が、内部では三層の螺旋構造を抱えていたのだ。まさに栄螺(さざえ)の形を模した不思議な世界。木の廊下を一歩ずつ踏みしめるたびに、次々に観音像が現れ、静かに巡礼の道へと誘う。秩父・坂東・西国の百観音を巡るのと同等の功徳が、この小さな空間に凝縮されている。
そのとき、頭の中にエッシャーの《Ascending and Descending(上昇と下降)》がよぎった。版画の中で僧侶たちは永遠に上り続け、そして下り続ける。現実には存在し得ない階段が、視覚のだまし絵として永遠を示す。さざえ堂もまた、異なる手法で同じ感覚を体験させる。歩くことが、上ることが、巡礼となり、終わりのない回廊をめぐるように心を運ぶのだ。
不思議な巡礼は一方向に流れ、気づけば最上階に達し、そして自然に下りへ導かれる。二百年以上前に考案されたこの建築の発想力は、驚嘆に値する。
最後に魚藍観世音菩薩に手を合わせ、堂外へ出たとき、胸に残ったのは「巡り終えた」という静かな充足感。現実の建築と心の中の無限回廊、この二つの空間が重なり合い、神秘的な体験を形作っていた。小さな寺院に秘められた仕掛けは、「日本三大さざえ堂」の名にふさわしいと感じた。
【参考情報】 • 拝観料:300円 • 無料駐車場あり •...
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