お盆の初日に行きましたが人が少なくゆっくりと見ることができました。駐車場も無料でそばに資料館もあり見応え十分です。明日香を訪れた際にぜひ見てほしい場所です。

キトラ古墳 キトラ古墳は、奈良県明日香村に位置する飛鳥時代後期（7世紀末から8世紀初頭）の円墳で、国内外で非常に高い歴史的・文化的価値を持つ遺跡です。墳丘の直径は約13.8メートル、高さ約2.4メートルの小規模な古墳ですが、発見された石室の壁画は、その規模を超える重要な遺産として広く知られています。

壁画と四神 キトラ古墳の石室内には、古代中国の陰陽五行思想に基づく四神（東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武）や、十二支が描かれています。これらの四神は、当時の権力者や貴族が自らの権威を示すために用いた象徴であり、彼らの死後の世界への願いが込められています。また、石室の天井には、古代中国の星宿図を基にした日本最古級の天文図が描かれており、当時の高度な天文学知識を示しています。

発掘と保存 キトラ古墳は1972年に初めて学術的に発掘され、その後、四神や星宿図を含む貴重な壁画が発見されました。これらの壁画は、その緻密さと保存状態の良さから、飛鳥時代の美術と文化を理解するうえで極めて重要な資料とされています。しかし、発見当初から保存状態が懸念されており、特に壁画の劣化が問題となりました。そのため、1998年からは保存処理と修復が行われ、2004年には壁画を保護するために石室の解体作業が実施されました。現在、壁画は文化庁の厳重な管理のもとに保管されており、一般公開は行われていません。

キトラ古墳の影響と意義 キトラ古墳は、日本の飛鳥時代における中国文化の影響を強く示しており、当時の国際的な交流や文化的融合を物語る貴重な証拠です。これらの壁画は、単に美術品としての価値を持つだけでなく、当時の権力構造、宗教観、死生観をも垣間見ることができる重要な資料です。

また、キトラ古墳は他の古墳とは一線を画する点が多く、同時代の有力者であった可能性の高い被葬者についても多くの研究がなされています。しかし、被葬者の特定には至っておらず、学術的にも非常に興味深い課題を提供しています。

現代への影響と文化的保護 キトラ古墳の発見とその後の保存活動は、現代の文化財保護のあり方にも大きな影響を与えました。古墳の壁画は、現在、奈良文化財研究所などの機関によって詳細に調査・研究されており、その成果はキトラ古墳壁画体験館「四神の館」などを通じて広く一般に公開されています。これにより、多くの人々がキトラ古墳の歴史と文化的意義を理解し、後世にその価値を伝えるための活動が続けられています。

キトラ古墳は、日本の古代史と文化を学ぶうえで欠かせない存在であり、その重要性は時を経ても色褪せることがありません。