白山市白峰にある黒ボコ岩は、白山登拝の合流点近くに位置する大岩で、火砕流によって運ばれた火山弾とされる。
黒ボコ岩(くろぼこいわ)は、白山(はくさん)山頂近くの弥陀ヶ原(みだがはら)と呼ばれる高原の南縁に位置する巨大な岩である。標高約2,320m地点にあり、加賀側からの砂防新道と観光新道の登山道が合流する位置にそびえている。この岩は、白山の火山活動に由来する火砕流によって運ばれた火山弾とされ、黒色で塊状の安山岩質が特徴である。周囲にも同様の黒い転石が点在し、白山の自然史を今に伝えている。
現在の黒ボコ岩は高さ数メートルの巨岩であるが、昭和36年(1961年)の北美濃地震によって一部が崩落したとされ、往時より規模が縮小したという。しかし、その後も変わらず白山登山の目印として、登山者に知られてきた。岩の直下には「延命水(えんめいすい)」と呼ばれる湧き水があり、「ひと口飲めば三年長生きする」と伝えられている。石川県内で最も標高の高い名水とされ、現在も多くの登山者がこの水を味わっていく。
黒ボコ岩の周辺一帯は、白山信仰における重要な登拝路の一部である。平安時代から中世にかけて、白山には加賀・越前・美濃の三馬場が置かれ、それぞれから山頂を目指す禅定道(ぜんじょうどう)が整備された。黒ボコ岩が位置する弥陀ヶ原は、越前側の禅定道における最終宿泊地「弥陀之原宿」があった場所とされ、白山登拝の終盤にあたる重要な地であった。ここでは多くの修験者や信仰登山者が野営し、翌朝の御前峰(ごぜんがみね)登拝に備えたという。
岩の周辺には、白山信仰にまつわる複数の伝承も残っている。観光新道沿いにある「蛇塚(じゃづか)」と呼ばれる石塚は、白山を開いたとされる泰澄(たいちょう)大師が退治した千匹の大蛇を埋めた場所と伝えられている。今でも登山者が小石を積み重ねて祈る姿が見られ、信仰の名残を感じさせる。また、「延命水」の伝説とともに、山中に宿る神霊や自然の力を敬う白山信仰の精神が感じられる。
黒ボコ岩が位置する場所は、昭和24年(1949年)に整備された観光新道と、砂防工事の作業道をもとにした砂防新道の分岐点である。これにより加賀側からも白山山頂へ向かう登山が容易になり、黒ボコ岩は両登山道の合流点として、古来の宗教的要所と近代の登山道の接点となった。近代以前の白山登拝では、加賀・越前・美濃の三方向から多数の参詣者が山頂を目指したが、黒ボコ岩はその最終行程にあたる地点にあるため、信仰的な意味でも重要であった。
黒ボコ岩自体は国や県の個別指定文化財ではないが、白山全体が国立公園に指定され、2023年にはユネスコの世界ジオパークにも認定された。黒ボコ岩は、弥陀ヶ原の地質遺産としてその一部に含まれ、地形・地質学的に重要なジオサイトと位置づけられている。そのため、自然環境と信仰文化の双方から保全と学術的注目が集まっている。
黒ボコ岩の近隣には、他にも白山信仰に関わる重要な拠点が点在する。加賀側の登拝口にあたる白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)は、現在も多くの参拝者を集める神社であり、白山信仰の中心的存在である。また、越前側には勝山市の平泉寺白山神社旧境内が残り、中世には一大寺院として白山信仰の拠点となっていた。美濃側には岐阜県郡上市に長滝白山神社があり、かつての中宮長滝寺を起源とする馬場があった。
白山登拝の歴史は、単なる登山ではなく、信仰に根ざした行としての側面を強く持っている。その最終地点に近い黒ボコ岩は、古来より霊域への入り口、あるいは神域への門標としての意味を担ってきたといえるだろう。現在では多くの登山者がこの場所で小休止を取り、目前に迫る御前峰の姿を眺めながら、白山の自然と信仰の歴史を感じ取っている。
黒ボコ岩は、火山活動が形作った大自然の造形でありながら、長い年月を通じて人々の信仰の対象にもなってきた。登拝道の節目として、また霊水の湧く場所として、白山における重要な景観の一つとなっている。目立った石碑や建築遺構はないが、その存在そのものが、信仰と自然が交錯する白山の象...
Read moreThis rock is one of a series of massive volcanic bombs along the edge of the plains. It's a great place to rest, with an amazing view of...
Read more噴火で転がってきた大きな溶岩?が目印。 下の延命水を飲んでここまでくれば、あとはゆっくりと室堂へなだらかな山歩きです。 室堂の先でまた結構傾斜が出てきますが。 砂防新道(甚之助避難小屋を通るメジャーな方の道)と観光新道の合流/分岐点になっていて、 ピストンで下りの場合は登ってきたのと違う道を選ぶこともできます。 どちらも別当出合で合流できるし、市ノ瀬でも合流可能です。 道標がしっかり立っているのでルート間違えることは...
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