6月、初夏の気配がただよう頃、ずっと行ってみたかった尾瀬に足を運びました。尾瀬という名前は昔から耳にしていたけれど、実際に訪れるのは今回が初めて。期待と少しの不安、そして好奇心を胸に出発しました。
バスを降りて最初に深呼吸をした瞬間、東京とはまるで別世界。空気がまろやかで、土と植物の匂いが混じった、なんとも言えない“自然の匂い”に包まれました。ここにはコンビニも信号もなければ、忙しない人の流れもない。ただ、山と空と風と、足元に広がる湿原。日常とは切り離された空間に、身体より先に心がふっとほどけていくようでした。
6月の尾瀬といえば、やっぱりミズバショウ。ちょうど見頃で、湿原のあちこちに白い可憐な花が咲き広がり、その一面の風景に圧倒されました。一つひとつの花はとても小さくて儚げなのに、それが群れをなすと、湿原全体が発光しているかのように見えるから不思議です。花の間には静かに流れる水がきらきらと光り、風が吹くたびにそっと揺れる花々が、まるで生きているようでした。
木道を歩きながら、ふと立ち止まっては振り返り、また歩いて、また立ち止まる。その繰り返しでした。あまりにも景色が美しくて、ただ歩くだけではもったいないと感じてしまう。同行者とは自然と会話が減り、それぞれのペースで、黙って尾瀬と向き合っていたような気がします。それが心地よく、言葉以上のやりとりができていたようにも思います。
林を抜けた先には、遠くにまだ雪をまとった燧ヶ岳(ひうちがたけ)の姿が見えました。青空と残雪のコントラストが美しく、標高の高さを実感するとともに、この尾瀬という土地の“奥深さ”を感じました。湿原の新緑と、遠くの雪、そして頭上には雲一つない青空。季節のはざまでしか見られない、この景色に出会えたことが本当に嬉しかったです。
足元には、ミズバショウだけでなく、リュウキンカやタテヤマリンドウ、ワタスゲなど、図鑑でしか見たことのなかった植物たちが咲いていました。それぞれが地面にそっと根を張り、小さくとも力強く生きている姿に、なぜかじんときてしまいました。目立たないけど、どれもこの景色をつくる大切な一員。自分もそうでありたいな、なんて思ったり。
途中の山小屋では、あたたかいお茶とおにぎりでひと休み。普段なら何気なく食べてしまうものなのに、ここで味わうと格別。特別豪華なものではないのに、ものすごく贅沢に感じました。体の奥から「おいしい」と声が出てしまうような、そんな感覚。自然の中で食べるという体験は、それだけで心を豊かにしてくれるのだなと実感しました。
そして何より、尾瀬の素晴らしさは“音”にもあると思いました。遠くで風が木々を揺らす音、小川のせせらぎ、鳥たちのさえずり。都会では耳にすることのない“静けさ”の中に、たくさんの命の音がありました。イヤホンでは聞けない、本物の“自然のBGM”。その一つひとつが心に沁みて、歩いている時間ずっと癒されていました。
帰り道は、名残惜しさで何度も振り返りました。歩き疲れた足は重たくなっていたはずなのに、心は逆に軽くなっている。不思議な感覚でした。「また来よう」ではなく、「また帰ってきたい」と思った。それほどまでに、尾瀬という場所が、自分の中に自然と溶け込んでしまった気がします。
6月の尾瀬は、命が芽吹く季節。すべてが静かに、でも確かに動き出している。そんな“始まりの力”を肌で感じることができました。華やかではないけれど、派手さもいらないと思えるほど、自然そのものの美しさが詰まっていました。
この旅を通して、自然と向き合う時間の尊さ、自分のペースで歩くことの大切さ、そして「何もしない」を味わうことの価値を知りました。日常に戻ってからも、このとき感じた静けさや穏やかさを、心のどこかで大切に持ち続けていきたいです。
また季節を変えて、秋や冬、そして花の時期が違う春にも訪れてみたい。何度でも新しい顔を見せてくれるであろう尾瀬。その魅力を、きっとこれからも追い...
Read more2023/5/30...
Read more2025年5月27日初来訪!水芭蕉はかなり咲き始めていて小さめの花がたくさんありました。平日の朝早くに行ったので人も少なくゆっくり見られました。
以下、山登り・ハイキング素人の感想です。 鳩待峠を7時に出て、8時頃山の鼻ビジターセンター着。山道ではないので慣れてる人からしたら歩きやすい道ではあるでしょうが、不慣れな人は降りるのに1時間くらいかかります。来てる方ほとんど山登りの服装でした。1割くらい普段着の延長、運動靴といった感じ。スニーカーでも行けるっちゃ行けるけど、ちょっと不安なところありました。あと湿原はめっちゃ歩くのでしっかりした靴がいいです。 5月末でも早朝の曇り空だったため、かなり寒くて~15度くらいでした。雪も結構残ってます。半袖&長袖&ユニクロの薄いダウン&風通しにくいアウター...
Read more