温泉が湧き箒川の渓谷美に恵まれた塩原の地を愛されていた大正天皇が、ここに御用邸を構えられて以来、昭和天皇と弟君である秩父宮殿下、高松宮殿下、三笠宮殿下をはじめとした皇族方は、夏の避暑地として塩原御用邸を良く利用してきました。 その御用邸の御座所が、この公園内で保存公開されています。特に三笠宮殿下は「少年の日の夏の思い出=塩原御用邸」で、感慨深い場所だったようです。
本来の御用邸のあった場所はここではなく、公園前の塩原街道を降った所にある塩原視力障害センターの跡地です。今は老朽化したセンター建物が撤去され更地となっていて、御用邸当時を偲ぶものは入口の黒い冠木門と石垣ぐらいしかありませんが。
戦後の皇室財産の整理で、御用邸は内務省に移管され視力障害者支援施設として使われるようになりました。その後のセンター施設の拡充で建物は撤去される事になったのですが、地元の誇りであった御用邸建物の保存を求める声は強く、御座所のみが昭和56年にここに移築された、という訳です。
御座所は皇室が使用される家屋なので、一般とは異なる特有の構造を持っています。すぐに気がつくのは外と生活空間である部屋の間が、赤絨毯敷の板縁と畳敷の廊下とで二重に隔てられている事です。畳敷廊下を使えるのは身内か賓客だけです。その他に防犯上の理由もあったとされます。これは他で公開されている沼津御用邸も同じなので、皇室建築のスタンダードなのでしょう。
あと伝統的日本家屋は風通しを良くし湿気がこもらないようにするため、床下は通常は開放されているのですが、防犯対策で塞がれ塗り込められてしまっています(写真参照)。わざわざココに忍び込んで不敬をはたらく人間がいるとは考えにくいですが(笑)。
派手で下品な装飾は一切無く、落ち着いた慎ましやかな佇まいはさすがです。ベルサイユ風の豪華さを期待してガッカリする人もいるようですが、真の良家はそんな家には住まんのです(笑)。 地味なようでも、よく見れば最上の部材を用い最高の加工技術で施工されているのが分かると思います。滑りを良くするための敷居の樫の埋め木や窓のレールの水抜きに精密な職人芸が見て取れます。
「恐れ多くも畏くも」(最高敬語)かつては超VIPしか出入り出来なかった場所にいるのですから、賓客気分を大いに...
Read more天皇の間記念公園の駐車場裏が塩原溪谷歩道の入口になっています。
天皇の間記念公園の説明は以下の通りです。
天皇の間記念公園は、かつて塩原福渡の地にあった「塩原御用邸」の「天皇の間(新御座所)」を、昭和56年に原形のまま移築し保存したものです。明治35年に初めて塩原へ行啓された当時の嘉仁皇太子殿下(後の大正天皇)が、その豊かな自然や気候、温泉などをお気に召されたことから、当時福渡に別荘を構えていた那須野が原開拓の祖...
Read moreOn the way to Aizu. Had a short break there.
Can't say it is a beautiful place, but it is very quiet and peaceful. It's being...
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