館内を一巡してみた。 素人に理解できるようパネルや模型 写真 実物が展示され なかでも模型展示は精巧を極め 妙に感心する。 概ね(oumune)次のように説明づけられている(間違っていたらごめんなさい)。
そもそも和鋼(wakou : 日本鉄鋼協会が高いランクの刃物用に与えた鋼材の名称)のなかでも玉鋼(tamahagane : 主として日本刀に用いる最上質の和鋼で 〝玉〟は美称を指し 褒め尊ぶ美麗語にあたる)は たたら製鉄(風を送る古代式足踏みフイゴを意味し これを用いた粗鋼 即ち鉄鉱石や砂鉄を精錬して不純物を取り除き 圧延や鍛造をする前段階の鋼のことで 〝たたら〟の語源には諸説がある) でしか得ることの出来ない貴重な鋼ということになる。 奥出雲に伝わる この古式製法は歴史上一次中断されていたが その貴重性に目覚め復活を遂げた。 現在では年に一度 冬季に生産がおこなわれ 作られた玉鋼は日本全国の刀匠に分け与えられている。 真砂砂鉄12トンを木炭10トンで以て約1,600℃近くにもっていき 三日三晩を燃焼に費やすことで還元(kangen : そもそも 元のあるべき状態に戻すことを指し 砂鉄は酸化鉄の状態にある為 このままでは使えない。 鉄に戻したい。 そこで酸素と炭素が仲の良いことに着目し 酸化状態にある砂鉄を 木炭を用いて加熱し 発生する一酸化炭素に砂鉄の酸化物を吸着させる という方法で元の鉄に戻し 引き換えに炭素に吸着させた一酸化炭素を二酸化炭素にてしまう) 反応を起こさせ 鉧(kera : 砂鉄から作られた粗鋼で多くの気泡を含有している)が出来あがる。 その量は僅か3トン程度のものである。 その後 約1.5トンの重りを7〜8mの高さから初速度0m/secで自然落下させ 鉧を砕く。 続いて玉鋼の等級選別を行う為に さらに細かく砕かれ その作業の中で 炭素含有量や破断面の肌の細かさ等によって 玉鋼一級・二級・三級・目白(mejiro : 塊はとても小さいが玉鋼一級の価値に近い内容)・銑(zuku : 炭素含有量が多く構造材には不向き)・大鍛冶屋用などに分別される。 ザックリした流れはこのようなことであろうか。
玉鋼による作品の骨頂は やはり日本刀であり これをさしおいては語れまい。 有名刀匠達の作品が参考展示されていて 刀の肌面を観ているうちに圧感されてしまいそうだ。 刀造りも館内で説明展示されており 玉鋼から日本刀になっていく旅は さらに長いがゆえ この分野の話しは省略しよう。
個人の話でご迷惑をおかけするが それは かって小生が もの心のつき始めた頃のことだった。 父の生家だったか母の生家だったか いまや覚えはないが 床の間に据えてある鹿角に日本刀が 一振り掛けてあった。 そのため曽祖母だったかが厳しく 奥の間には入らせないよう 常に気を配っていたことを覚えている。 〝魔がさす〟ことが起こるのを極度に嫌っていた。 我々が住む時空の何処にでも魔は潜み 邪鬼はその気を起こさせる と教えられた。 例えば「あの様なことを つい口がすべって言ってしまったが為に」とか「面倒臭いから省いたが為に起きてしまった」や「相手はこちらを認識してると思ってたのに事故ってしまった」等々。 こうした〝魔がさす〟と云う言葉に 古来日本人は用心した。 それゆえか幼な子ながらも これを説いて聞かされ 〝お行儀〟を躾け(shitsuke)られたものである。 近年日本人は秩序を守る国民だと 世界は称賛する傾向にあるが 教えや〝お行儀〟は その一端を担っているのかも知れない。 ところで入ってはならぬ奥の間に入りたくなるのは幼子とて同じ。 〝お行儀〟が悪かった(笑)。 ある日 人気の無いその奥の間で一振りの真剣と対峙した。 回顧するに あれは神にも思え 幼子ながら ある距離からは近寄りがたい畏怖の念すらを覚えたような気がする。 日本刀は なぜか小生を嫌っていたように思えた……いや 明らかに嫌っていた。 しだい次第に大きく見えだす刀に怖くなり 背を向けずに日本刀を凝視しながら後ずさりし 襖を閉めた覚えがある。 甚だしい余談をごめんなさい(苦笑)。
さて 忘れてはならないひとつが奥出雲にはある。 砂鉄で山が消えた広大な跡地には灌漑用水路が築かれ 新たな田畑は穀物の実りを以て生活の営みを支えるなど 奥出雲特有の生活文化が根ざしている点である。 荒れ野と化したなかで 施設の廃墟が無数に点在するイギリス・アメリカ・ベルギーほか 多くの国の鉱山地帯が奥出雲のようにはなっていない。 ここに日本人の美しい魂を見る想いがする。 この地の同胞達が そして次の時代を担う若者たち いや子々孫々に至るまで 奥出雲と云うゲマインシャフト(Gemeinchaft : 運命共同体)は 玉鋼造りのみならず 田園治水事業までもやってのけていた。 緑の水田を初夏の風が渡り 小川はモアレ模様をつくりながら流れ去る。 中国山地の山々が遠く近く重なり合うなか...
Read more(English follows) 炉の構造を地下を含め実物大で再現した展示には非常に驚いた。地上部分はテレビで見る機会もある。しかし、地下にこんなに手の込んだ作りが埋まっているとは知らなかった。この施設で上映しているビデオでも触れていない。炉全体の構築費用の半分が地下だと展示では説明されていたが、実際はもっと地下の比率は高いのではないか。8割9割でも何ら驚かない。炉を再現したこの展示が一切撮影禁止なのはふざけている。目玉だろ。 I was very surprised by the exhibit that reproduced the structure of the furnace in full scale, including the basement. You may have seen the above-ground part on TV before. However, I had no idea that such an elaborate structure was buried underground. Even the video shown at this museum does not mention it. The exhibit explained that half of the cost of building the entire furnace was underground, but in reality the percentage of underground is probably much higher. I would not be surprised if it is 80-90%. It is a bad joke that no photography of this exhibit, which reproduced the furnace, is allowed at all. It is the centerpiece of...
Read moreI visited the museum as part of an Okuizumo tour. The most interesting exhibits are the bellows used in making iron. You can try them out! There are demonstrations for sword making and sword fighting. You can volunteer to stoke the fire and hammer the metal. You can hold real...
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