2階の資料展示室に、「長崎の鐘」の著者 永井隆博士から1950年に古関裕而氏に宛てて差し出された、楽曲「長崎の鐘」作曲のお礼状と封筒が展示されている。和紙に読みやすい文字で、一語一語丁寧に記されている。博士は白血病が進行して余命いくばくもなかった頃で、手紙一通記すにも想像を絶する苦しみに耐えていたことが偲ばれ、乱れのない綺麗な文面は胸に迫ってくる。博士から古関氏へ贈られたロザリオとともに、古関氏を顕彰する他のどの展示よりも強く訴えかけるものがあった。訪れる方はぜひ見逃さないでほしい。
なお、テレビドラマ「エール」では主人公の裕一が長崎に永田医師を訪ねて面会するストーリーとしていたが、実際には古関氏と永井博士は文通のみの交流で、古関氏が長崎を訪れることができたのは博士逝去の翌年であった。
お礼状を見ながら、藤山一郎さんの懐かしい歌声を頭の中でゆっくり思い出したいところだった。「とんがり帽子」の自筆楽譜も読んでみたかったが、あいにく近くでスポーツ応援関係の古関作品がエンドレスでかけられていて台無し。音楽を扱う展示施設であり、来館する人はそれぞれに音楽に対する思いがあるということに、もう少し思いを至らせてほしかった。ゆえに★ひとつ減点させていただく。
古関氏には画才もあり、1階から2階へのらせん階段には1970年代にスケッチした風景画が飾られている。それぞれ、氏が作曲した作品をイメージしている。氏の温かで細やかなお人柄が感じられた。
<以下2020年10月時点の案内>
・2階資料展示室は撮影できない。 ・1階ロビーでは「エール」のテーマ曲が流されている。(写真は常磐線全線運転再開時の映像) ・入館時には体温自動測定。受付では氏名、来館人数、居住都道府県(詳しい住所までは記す必要なし)、連絡先電話番号を記入。 ・記念館前の広場では、「エール」に登場する主人公夫妻なじみの喫茶店「バンブー」のセットが休憩所も兼ねて設置されている。(2021年3月末までを予定)バンブーのマスター夫婦役を演じている役者さんのサイン色紙とビデオメッセージも見もの。麻雀牌の「緑一色」には笑えた。 ・公共交通機関を使う場合は、福島交通バス「日赤前」下車。(福島駅から280円)信夫山方向の道で最初の交...
Read moreGreat, memorable experience seeing Yuji's smile with beautiful music in house. Right across is a concert hall in a separate building with many beautiful wonderful...
Read more人口ではいわき・郡山の後塵を拝し、観光地としては会津・喜多方・白河に遠くおよばず、市内随一の名所である花見山公園は唯一無二の見ごたえであっても季節限定、ご当地グルメの円盤餃子は見た目のインパクトばかりでさほど美味しくもなく、どうにもぱっとしない印象の福島市がさかんに宣伝している施設です。 古関裕而は福島市の出身です。「六甲おろし」「栄冠は君に輝く」などの作曲を手掛け、球界とのかかわりが深く「野球殿堂入り」を果たしていますが、戦前・戦中は「野営の歌」(勝ってくるぞと勇ましく~)の他、数々の軍歌を手がけた一方で、戦後には反戦平和を前面に打ち出した「長崎の鐘」なども発表しています。これは変節でなく、顧客の意向をふまえただけであり、戦前・戦中・戦後を通じて人間性への尊重は一片も損なわれていないと考えます。事実、戦後になっても自衛隊むけに作曲していたりもします。 第二次世界大戦中に比類なき傑作である「アッツ島玉砕」を描いた洋画家の藤田嗣治は、戦後はアカの似非平和主義者の攻撃に辟易して日本を捨てましたが、古関裕而がそうならなかったのは幸いです。 遠路はるばる訪れるには微妙な見ごたえですが、春の花見山公園、あるいは近郊の温泉宿のついでであ...
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