”むなかた”は今は『宗像』と書いているが、古事記、日本書紀には『胸形』とあるので本来は『胸形』と書くべきであろう。諸説はあるが その一 1965年金関丈夫(ｶﾅｾｷﾀｹｵ）は胸に鱗の入墨(ｲﾚｽﾞﾐ)をしていた人が住んでいたから『胸形』というとの説を唱えた。事実、『魏志倭人伝』にも ”倭の水人は海中に潜って魚や蛤(ﾊﾏｸﾞﾘ)を捕らえ、入墨して大魚や水鳥から身を守った”とあり、福岡県八女市から胸に三角形(鱗文(ｳﾛｺﾓﾝ)の模様のある埴輪が出土した。 参考までに平安初期には『宗像』と書かれるようになった。 その二 『風土記』によれば”宗像の大神は天から降りなさって埼門山(ｻｷﾄﾔﾏ）にいらっしゃった時、青蕤(ｱｵﾆ)の玉を奥津宮の表(ｼﾙｼ)に置き、八尺蕤(ﾔｻｶﾆ)の紫の玉を中津宮 の表に置き、八咫の鏡を辺津宮の表に置き、この3つの表をご神体として、三つの宮に置きなさって、そうしてお隠れになった。それで身形(ﾐﾅｶﾀ)の群と言った。 後の人は改めて宗像と言っている”とある。 参考までに「蕤」とは　垂れる。冠や旗などの垂れ飾り。意味

さて、この宗像大社が祭る宗像三女神の生まれには古事記、日本書紀に以下の逸話がある。 弟(ｽｻﾉｦ)が、姉(ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐ)に会いに行った際、弟が猛々しく歩いてきたので姉は弟が高天原を奪いに来たのではないか　と疑った。 その疑いを晴らすために『誓約(ｳｹｲ)』という占いをし、その際ｽｻﾉｦが産んだ神様といわれる。参考までにｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐは天皇の先祖を産んだ。 この三女神は日本書紀では別名『道主貴(ﾐﾁﾇｼﾉﾑﾁ)』と言われ『貴(ﾑﾁ)』つまり高貴な神と言われるのは ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐ(大日孁貴神(ｵｵﾋﾙﾒﾉﾑﾁ))、ｵｵｸﾆﾇｼﾉﾐｺﾄ(大己貴神(ｵｵﾅﾑﾁ))のみの三柱の一柱にあたる。 また、高天原から地上に至る際にｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐから命令を受けたのは、ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐの孫のﾆﾆｷﾞﾉﾐｺﾄとこの宗像三女神のみであり、この三女神は 「海路の途中に降り居て天孫を助け、天孫から祭られよ」と言われた。

宗像三女神が降りた場所は、宗像大社の高宮祭場と言われているが、他にも大分県安心院の三女(ｻﾝﾐｮｳ）神社に降臨したとの逸話がある。 ここの逸話では、ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐが河原の石を投げて「この石が留まる所に鎮座せよ」と言い落ちた場所がこの神社のある場所　と言うことだそうだ。

ところで、宗像大社は大宮司家（第80代最後の宗像氏貞(ｳｼﾞｻﾀﾞ）1586年没）の子供が早世していたため断絶、衰退して雑木林の中 屋根は壊れ、腐れかかった場所もあったそうです。 それを見た出光興産の創業者「出光佐三」は約30年をかけて、1971年総工費 10 億円で、神社再建に尽力した。 この功績を残すため記念碑を作ろうとしたが、彼はこれを拒んだ。 しかし、沖津宮の分霊を祀る「第二宮(ﾃｲﾆｸﾞｳ）」、中津宮の分霊を祀る「第三宮(ﾃｲｻﾝｸﾞｳ)」とその間の手水鉢に書かれた「洗心」の文字は、彼が書いた文字である。 また出光興産の関係ある会社には宗像大社があるそうです。