今や回転寿司業界で最大店舗数を誇るはま寿司ですが、こちらの足利店は、そのはま寿司の第一号店として2002年に開店したいわば「創業の地」に当たる店舗なのだそうです。 普段は、はま寿司の前橋上泉店によく行くのですが、そちらはお寿司も環境も接客も悪くないですので、いつかこちらの一号店に行ってみたいと思っていたのです。 こちらの店舗、シンプルな外装の多いはま寿司の中では、和風の塗り壁風の建物で少し高級感がありますが、入り口の自動ドアはどこが開くのかよく解らず、とまどいました。 他のはま寿司同様、子供連れのファミリー層にアピールしたいのか、席の割り振りはロボットの受付です。 ボックス席についてすぐ感じたことは、他のはま寿司に比較して明らかに席のサイズが一回り「狭い」ことです。建物の中にできる限り沢山の席を確保したいのは分かりますが、他店に比較してかなり狭くて窮屈に感じました。チェーン展開の初期の頃の設計だからでしょうか？しかし、この時はお客様は店内に一割程度しかおらず、席数の多さが、ガランとした虚しく弛緩した空気を強調してしまう結果になっていました。 気を取り直し、いざオーダーしようとすると、タッチパネルの感度がものすごく悪くてなかなか押せない上に、その応答音声が、幼児向けアニメのキャラクター風の非常に気持ちの悪いおどけた声質と口調でびっくりでした。そのあまりにも過剰におどけた音声を、大人の客に強制的に聞かせるのは如何なものかと顔をしかめたく成る酷いレベルです。 これまた子供連れのファミリー層に取り入ろうという商業的魂胆なのかと思いますが、せめて通常の音声と選択式にして欲しいです。こちらとしては、あくまで飲食店へ食事に入ったのであり、決して遊園地やゲームセンターへ入った訳ではないのですから、お食事処としてもう少し良識と節度を弁えたシステムにして欲しいと思います。あの異様なアニメ声で応答されると、小馬鹿にされているようで、非常に不愉快に感じるお客様もいらっしゃると思います。 お寿司ですが、数年前と比較しますと、原価の掛かるマグロ類がメニューから激減していました。その分、原価のあやふやなソフトドリンクや業務用ケーキ、おつまみやアルコール類ばかりが増えた印象です。肝心なお寿司類には、150円の高額メニューばかりがやたらと増え過ぎ、結果として頼みたいものが激減してしまいました。 平日だからかレーンの上にはお寿司は全く回っておらず、何とかタッチパネルで選んで頼んでみても、出てくるお寿司のネタは薄くてペラペラですし、天ぷら類は他店舗ではオーダー後に揚げ立てを出してくれましたが、こちらはすべて揚げ置きで、保温器に入れていたせいで衣が乾燥してガチガチでした。シャリも、明確に小さくなっていて実に悲しくなります。あおさのお味噌汁も具がスカスカで、ソフトドリンク類はただただ異常に甘過ぎて全く飲めませんでした。 そして何よりのダメ押し的な極めつけは、季節限定商品のカツオが100円と出ていたのでオーダーしましたが、驚いたことに「金色のお皿」に載せられて出て来た事です。あれは果たして、いったい何だったのでしょうか？何かの間違いだったのか、それとも正当な事由がある事だったのか・・・近年、外食業界ではお客様にわざと誤解させるかのような紛らわしい価格表記が横行していますので、よほど店員さんに確認しようかと思いましたが、広いホールの中、パートらしき女性店員さんがお一人で孤軍奮闘されていらっしゃって、何だか気の毒に感じてしまいましたので、やめて置きました。 お醤油も、昔あった関西風のお醤油が一番美味しかったのですが、コストが高かったのかいつしか消えてしまい、今あるお醤油はどれも低質で美味しくないです。生姜も今回のものは繊維が固くてかなりまずかったです。お手拭きもお客様を馬鹿にしているかのようにあまりにも小さすぎます。唯一、お茶の味だけは以前のままでした。 数年くらい前に「かっぱ寿司」も、次第にネタが劣化し、シャリが小さくなり、店員さんが減り、お客様が消え去り、危険水域まで業績が悪化しましたが、ここ最近のはま寿司にも、数年前のかっぱ寿司の凋落の過程と実にそっくりなものを感じてしまいます。 はま寿司はまだ店舗によってはネタや雰囲気に元気があり店舗ごとに多少の温度差はありますが、それでも回転寿司という業態自体が、全盛期をとうに過ぎ、既に斜陽産業の仲間入りをし始めているのではないかと、今回はそんな印象を持たざるを得ない悲しい経験となりました。 いずれにしても、お客様に強い疑念を抱かせたり、要らぬ不快感を与えたり、お寿司を食べて悲しい気持ちにさせたりするようでは、もう何があろうとはま寿司の足利店には二度と行きません。