１０年来ずっと介護していた母が亡くなってしまい、少し期間をおいてその供養のために京都に来ましたので少し足を延ばしてずっと来てみたかった「魚伊」さんに今回初訪問させて頂きました。 （とても優しい母でした。生活は苦しかったのですが母は小さな身体で私を育ててくれて感謝しかありません (´；ω；`)ｳｳｯ。）

【基本情報】 ・慶応三年（鳥羽・伏見の戦いの前年）創業の炭焼き関西地焼きの老舗うなぎ店 ・この店のうなぎは捌いた後に冷蔵庫で「4～5時間」寝かせて熟成させてから焼くという話を聞いた。 ※熟成させてから調理する店はあまり見かけず（その場で捌いて焼くのがいいという店が多いイメージ）有名どころで知っている限りでは小倉の田舎庵、関東ではあるのだろうか？ （関東の昔のうなぎは関西のものとは違い、沼やゆるやかな河川に住むうなぎを使用していることが多く川魚特有の泥臭味があるのでこれを消すために"蒸す"という方法が考え出されたという一つの経緯があるので、昔の天然関東うなぎでは熟成という方法は想像できなかったのではないかと思う） 関東で強いてあげると徳島「青柳」出身のミシュラン３星店の「小十」や「龍吟」のうなぎがそれにあたると思う。 （「青柳」では熟成方法を学ぶようだ。ちなみに「小十」で食べた時は宍道湖、「龍吟」で食べた時は徳島の天然うなぎだった）。 ・私は、一時期関西に居たことがあり特に大阪の方々には大変親切にして頂きました。特に冷めた上辺だけの人間関係の東京に比べるととても人情味があり明るさがあって大阪はとても好きな場所です。（よく「どないしたん？（どないしてん？）」とか親身になって色々考えてくれたり、問題が解決すると「困った時はお互い様やがな」とか言ってくれました。ただ人としてやってはいけないこと、礼節に反することをすると厳しく教えてくれました。）

【訪問時間】 １６：００ー１６：３０

【注文したもの】 うな丼　特上　４２８０円　※この日のうなぎは鹿児島県産と書いてあった

【感想】 夕方は１６：００開店で１５分前ぐらいに店に着くようにメトロ谷町線に乗って関目高殿駅で降り、駅から１０分ぐらい歩くと店に到着する。 店に到着するともうすでに数人並んでいる。店内にある受付機で受付をして開店時間を静かに待つ。 開店時間となり入店すると店内はとても綺麗で活気がある。店員さんはどの人も明るくテキパキと動いていて非常に好印象。 多くの人がひっきりなしに入店してしてくるが、店内に席数があるのと回転が速いのでそれほど待つことなく食事ができる。

注文してから１５分ぐらいでうなぎが提供された。 蓋をあけてみるとうなぎはとても丁寧で綺麗に仕上げられていた。盛り付けも綺麗でうなぎの焼き具合も丁寧に焼かれており表面もつやがありご飯もつややか。

若干熟成させているため心なしかねっとり感がある、焼き目は地焼きではあるが非常に丁寧な仕上がりで変に焦げすぎているところがなく、塩梅よく全体的に綺麗に香ばしく焼かれている。 味は控えめな甘みを感じる、特にうなぎの表面に歯ごたえ、甘みを感じる。表面はぱりっとして中はふわっとしている。全体的に非常に美味しい（タレも美味しい）。

※私は家が裕福でなかったため１年に１回だけうなぎを食べることが私の家の贅沢でした。母が近くのスーパーでうなぎを買ってきて母と一緒に「美味しいねえ」と言いながら食べていました。 私が就職した後は母を成田山新勝寺に初詣に行く際などにうなぎを母に食べてもらっていましたが、最初のほうは「美味しいねえ」と言って食べていた母も年を追うごとに食べられる量が減っていき、半分、１／３、１／４、数口、１口だけ、最後は大好きだったうなぎが全く食べられなくなってしまう。（；_；）ｸｽﾝ

最後の数年は要介護５の母と二人羽織のような生活で、ほとんど何もできなくなってしまったとても優しかった母が亡くなってしまいまいました。大好きだったうなぎを一緒に食べようと遺影をもって大阪で有名な「魚伊」さんを訪れましたが、美味しかった「魚伊」さんのうなぎを食べ終わった際に母の遺影に「美味しかったね」と話しかけると笑顔の母の遺影からは「美味しかったねえ」と言ってくれているようで自然と胸に熱いものがこみあげ涙がでてきました。

食事が終わり、活気にあふれた店を出て亡き母と一緒に美味しい鰻を食べられたことに満足し、大阪の人たちの温かさも改めて感じることもできて非常に満足して駅に向かい東京への家路に着きました。