彦根藩士 青木貞兵衛戦死之碑　〜或いは貞兵衛之墓所〜

戊辰戦争小山の戦いで大鳥圭介率いる旧幕府軍と戦ったのが、譜代筆頭ながら新政府軍に与した彦根藩兵です。豪徳寺の頸塚では、小山の戦いで晒首にされた新組頭（小隊長）の青木貞兵衛らの頸が祀られていますが、おそらくその胴体が弔われているのがここ、栃木県小山市の天翁院です。青木隊は約20名、1人の伝令を残し全員が討ち死にし、青木らの頸は小山宿の本陣前で晒されたと伝えられます。

三百年来徳川家の恩を蒙りながら、敵対いたし候者につき、梟首おこなうものなり（もしお草）。近代人であった大鳥圭介が、晒頸にしたするその情念は、徳川家を何より守らねばならない彦根藩が、敵の尖兵になったことに対する怒りであったと考えられます。（2021年11月5日訪問）

明治8年(1875)4月、造営に着手し、翌年5月に竣工した彦根招魂社は、青木貞兵衛頼実之命以下26名の神霊を招魂鎮座するを以って始まります。青木貞兵衛、御霊は滋賀県。頭部は世田谷豪徳寺。そして胴体は、憤死の地である小山市で、安らかかどうかはわかりませんが眠っているのです！合掌。