稚拙な接客に戸惑うがうなぎは老舗の完成された味が堪能できます。 お店の売りである「うなぎの蒲焼き」は日本人のDNAに刻まれているであろう本能を十分に満足させてくれる美味しさです。

皮がパリッとして身がふっくら。 タレも甘すぎず辛すぎずのちょうど良い案配。

これ以上焼きすぎてもいけない。 これ以下に焼かないでもいけない。 この、旨さが一番よい所での焼き方と焼き加減に毎回挑戦し成功させている職人技には恐れ入ります。

まさに日本の伝統文化の継承と言っても過言ではありません。

それが身近に味わえるのですからもうたまりません。

このうなぎを食べた事がある人と食べた事のない人で世界は2分割されて食べた事のない人は人生で損をしている。 と 言い切って良い美味しさです。

逆に食べれば「この世にこんな美味しいうなぎがあったのか！」と心に刻み込まれて人生の加点として魂に響きわたること間違いなしです。

と

うなぎに関しては。です。

うなぎ以外はと言うと

漬け物やひつまぶしの薬味が市販品そのまんま。 特にわさびなんてスーパーのお刺身コーナーに置いてあるわさびと変わらない風味の無さ。

器やだし汁入れも業務用の一般的なもの。

手にした時のがっかり感は拭えません。

まぁこれはあつた蓬莱軒本店も同じなんですけどね。

そして

店員のキンキン声で繰り返される注文の確認には辟易させられる。

全体的に接客という概念はなくただ注文をさばくのみ感が店内に漂っております。

そこまで本店と同じにしなくても良いんじゃないかなと思う。

二十二年の修行を経て得た技術には恐れ入りますが

雇われて焼いている時にはそれで良かったかもしれませんが、一店舗の店主となったからには本店を超える勢いで細やかな采配をしてほしい。

「職人だから」と言っていられるのも本店の職人だったからで店を構えて数年経った今はお店のレベルを上げる感性が欲しい。

うなぎとは不思議な食べ物である。

さばく前の姿はとてもこれが食べられるとは思えない容姿。

そのまま刺身にしても淡白な白身で脂があるなぁくらいの味である。

が

そこに職人の技と伝統の技術と秘伝のタレがあわさる事により極上の蒲焼きへと変化する。

タレと脂が炭火で混ざり合った複雑な旨みと香り。 その味だけではなくて 程よく水分を飛ばしたパリッとした食感。

味を味わうだけではなく食感をも同時に味わっている。

そう考えると

食べると言うことは人の五感を使って感じていると言うことである。

そこに店の雰囲気も含まれる。

残念な接客ではどれだけ最上級の味でもその段階が下がってしまうと言うもの。

本店の威光を脱ぎ捨て次の水準へと一段階上がって欲しい。

その可能性が十分あるお店だと思います。