【どこまで凄くなるのかな⁈】
山菜を採りに行くのが好きと語る西本シェフ。 『MANO』と言う店名もイタリア語で『手』を意味した言葉。手を動かして素材を知る、その素材を手を使って料理に変える、手をかけて作ってくださっている猟師さん、農家さん、器の作家さんへのリスペクトも兼ねてそうネーミングにしたと言う。
最初の料理は❶「森のスープ」…スペシャリテと言うかタイトルは変わらず季節によって素材は変化する。今回はジビエの出汁(猪とエゾジカ)をベースに山菜の根っこ(芹とアザミとたんぽぽの根っこ)を使ったスープ。…これが、少しもクセがなく苦味もなく、少しまったり感はありつつ滋味深く美味しい。
ペアリングはアルコールの人は長野で作っている「Classic」と言うシードル。アルコール度数7%とまずまず強め。車を運転する僕らはノンアルコールのペアリングで。
❷《前菜》3種からのスタート。 ❷-①魚は養殖の「ウグイ」…鯉科の魚で泥臭かったり、なかなかクセがあると聞いていたので(特に夏場のウグイは「ねこまたぎ」とも言われるほど人気がない)食べたことがなかったが、今回初トライ。冬から春の産卵期は美味しくなるらしいし、綺麗な水の川で育つと違うらしい。今回食べてみて、何もクセなく普通に旨味もあって美味しい。上には千切りされスペインのエスカバチェと言う料理をインスパイアしてシェリビネガーとパプリカパウダーで味付けしたアスパラガス。シャキシャキ食感も楽しめる。この組み合わせも見事。
❷-②「春巻き」…春に採れている山菜全てを中に入れて巻いている。今日は14種。大イワシを酢漬けにして中心にアミノ酸代わりに。
❷-③「鉱泉せんべいの上に山葵を刻んだピクルスとジャージー牛のチーズ」を合わせ、さらにハチミツを乗せている。…チーズとハチミツの鉄板の旨さをB級の鉱泉せんべいで食べる幸せ。間違いない。
❸「猪肉のつくね」…猪を皮付きで仕入れたので皮は煮凝りにして、つくねに混ぜている。生玉子の下に天然香茸を乾燥させ、若干水分を戻して、(トリュフ熟成のような形)で2週間置いておくと香りが変わる。それを漬け込んだお醤油を玉子と混ぜるとより香茸の香りが強くなる…いやいや、この西本シェフ、変態だわ。面白いし、猪つくねは味も濃厚で醤油も深く美味い。
❹「豆腐」…(長崎県の嬉野温泉の湯豆腐のように)長野県の小谷村の温泉でも豆腐がマイルドに溶けて美味しく食べれると言う。…花山椒を添えて。 ※ペアリングは「蓬の枝の部分から出したお茶」
❺「春野菜ロメスコソース」…植物性の旨み。 シャキシャキ食感の菜の花や香ばしい菜の花、タラの芽、えんどう豆。ソースはトマト、パプリカ、アーモンドを使ったロメスコソース。…植物って、ちゃんと食べると美味しいし、楽しめる。なんだか、草食動物になった感じ。
◎提供された『パン』は「バタートースト」、薪の香りも味になっている。
※ペアリングはラベンダーの花、水、糖分、…一度発酵させると10日〜1ヶ月すると酵母になる。放っておくとアルコールになり、それをさらに放っておくと、アルコールが抜け酢になる。ほんのりラベンダーの香りのする酢(ビネガー)は飲みやすく、爽やか。
❻「鯵、山菜」… …この時期は富山県の鯵が一番好きだとシェフは言う。ホタルイカや片口イワシを食べて味が濃くなっている。…皮目に脂がたっぷり乗っているので火入れもキッチリ決めて、中身は生で。上には香りの良い山菜(シャク、セリ、山椒、踊り子草)
横にはセリ、シャクの軸、野蒜、蕗、蓬、酢の入った『ビナグレッチソース』が添えられ、これをソースとしてたっぷりつけていただく。…シンプルな鯵と複雑な山菜の組み合わせが新鮮な食体験。
※昆布茶ビネガー、
❼「中心にはタラの芽。周りは軍鶏の八幡巻き」… 軍鶏の肉は相当柔らかに調理されていて、味にローリエも効いている。そして添えられたフライドポテトにはシェフはこだわりがあると言うだけに、外はカリカリ、中はほかほか、確かに相当美味しい。倶知安町の「ジャガイモEXPO」に参加しないかなぁ〜。
❽「蛤のパエリア」…新潟はまぐり、蛤の出汁だけで味付け、上には春の訪れを告げる『おこぎの葉』を掛けてある。長野県では若い葉を摘んで食用にする山菜としてよく使われる。…全部を食べ切れず持って帰りたかったが、作った時が美味しさのピークらしく、ここから味が落ちる、との事で諦めて。めちゃくちゃ美味しかったから、なんとも残念だったけど、これで良いのだ、ね。
❾デザートは「新生姜のグラニテ」…口直し的にサッパリ美味しい。
➓「かるかんの薪焼き」…かるかん(かるかん粉、山芋、水が原料)を薪焼きして、下には小豆と甘酒と桜の葉っぱとカシューナッツの液体。シェフは桜餅の薪焼きイメージで作ったそう。…面白いし美味しいし。 僕自身はかるかんはイマイチ好みではなかったが、この食べ方ならアリ。
最後のミニャルディーズは①砂糖かけてキャラメリゼした胡桃にアマゾンカカオをまぶしたモノ。もちろん近所にあるアマゾンカカオの太田さんからの仕入れ。②ゼリー
そして最後にドリンク。
それにしても恐るべき29歳。食材への知識も、その調理能力も少なくとも20年間くらい料理に携わってないと知る機会もないようなことを知っているほど造詣が深い。末恐ろしいが、面白い。 長野県白馬出身の太田哲雄シェフと同様に、長野県の地元食材、テロワールの伝道師になりそうだな。
面白いことにお二人はたまたま偶然、ほぼ同じエリアでキノコなどを採りに行っているようだ。 長野県...
Read moreThis Spanish restaurant isn't what you'd expect – it's a place with incredibly convincing and distinctive cuisine. The chef's commitment to quality is evident in the hand-picked, often foraged ingredients, all brought to perfection through grilling over the central fireplace. This isn't just a kitchen; it's a stage where the chef's graceful movements are a constant show, as they assemble stunning dishes on bespoke artisan plates. It's an entertaining and truly abundant...
Read moreMANO(マノ)【長野・中軽井沢】〜 森の精気の力強さを頂く 〜
◆出色の一皿 猪肩ロースと蝦夷鹿外ももの薪火焼き
茸のみの旨みで摂った森のスープで始まるコースは
猪や月の輪熊や蝦夷鹿のようなジビエも
鰤やおじさんや剣先烏賊、海老のような魚介も
蕪や法蓮草や里芋、クレソンのような野菜も
命の息吹きを感じる連なりで、
その随所に薪をくべた料理ならではのシンプルな直截さが在る。
印象的だったのは
香茸をはじめとした幾つもの茸が料理に付加する豊かな抑揚と
料理では自家製パン 薪バターと
メインの猪肩ロースと蝦夷鹿外ももの薪火焼きと
〆の剣先烏賊と海老のアロス カルドソの三皿。
中でも真打ちだったのは
これぞ薪焼きの喜び!なジビエ肉の一皿。
1歳未満とのことだから個体もそう大きくはないのだろう、
猪の肩ロースは
サクサクした繊維の歯ざわりの小気味良さと
むっちりした脂のにじむミルキーさが有り
薪のアロマ香がひときわ高くて、
蝦夷鹿の外もも肉は
しっかり締まった身質がさらりとしながらも味わい深く
鹿のジュと焦がした蜂蜜とバター、リンゴが
凝縮感のある甘やかなアクセントになっている。
この一皿が象徴するように
MANOは森の精気の力強さを頂くようなレストランだった。
◆今回のお品書き
森のスープ 茸のみの旨みで
市田柿のベーコン巻き、牡蠣麹のペーストと薪焼きの法蓮草のパイ、 熟成させた鰤 蕪と菊花のピクルス
舞茸 猪 クレソン 醤油麹 割包(グァパオ)
里芋の煮物 月の輪熊 香茸の餡
薪をくべた自家製パン 薪バター
アーモンド 魚介(おじさんとアサリ)出汁 パセリ
フライドポテト
猪肩ロースと蝦夷鹿外ももの薪火焼き
剣先烏賊と海老のアロス カルドソ *アロス カルドソ‥スペインの魚介の雑炊
紅まどんな
Adult プリン 白州を混ぜた生クリーム
ハーブティー(ローズマリー ラベンダー 緑茶)
お茶菓子:花豆フィナンシェ、薪焼きの胡桃 黒糖コーティング
+フル・ペアリング
(昼)20000円/人
◆この店の楽しみ方
<プロフ>
大阪のスパニッシュバル、AUPAを皮切りに
本国スペインでもバレンシア、アストリアス等で修行を積み、
直近ではスノーピーク ランドステーション...
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