店の前には「しゃりは人肌」という気色悪いキャッチフレーズを書いた幟がはためいている。機械が握るしゃりの温度の事を言いたいようだが、言い方というものがある。インターネットで席予約をして、残り20分という案内を見てから家を出、15分程で到着してから、店内の待合スペースに座って30分待った。スシローの店内では、外界よりも時間の流れがかなり遅いみたいだ。

子供たちにとって回転寿司屋は、レーンに流れてくる寿司をタイミング良く取るというアミューズメント性が半分である。寿司など3〜4皿で終いで、あとはラーメンやスイーツを楽しむ。一定間隔でわさびや塩が流れる閑散としたレーンを見て、かつて色々な寿司が連なって流れ、オッ！これ美味しそう！と次々取っていたあの頃を懐かしむ。戻ってほしいわけではない。ペロペロは怖い。

タッチパネルで注文し、台座つきで流れてくる寿司は、機械で握られた飯に刺身が乗っかってある、良くも悪くも回転寿司クオリティの料理だ。こういう店では、切れ端ばかりを寄せ集めた軍艦をまず食べる。これが大抵美味しい。えのきの赤出汁という珍しいのを頼んでみたが、何ら感動はなく湯で少し薄めて飲んだ。

ブリハマ？とか言う、ブリとハマチのいいとこ取りみたいな名前のネタにはつい期待させられたが、むしろ悪いとこ取りで安堵した。スシローはこうでなくては。握り寿司はどれもネタがよく冷えていて、いわゆる人肌のしゃりとの温度差に違和感しかなかった。しかし、この日のサンマはなかなか良かった。