Taiwanese restaurant Kinryu-Bishoku

金龍美食。名前が派手派手。 いかにも中華って感じだ。白山通りを車を走らせながら、何度かそう思っていた。 赤を基調としたよくある店構え。中華料理店としては何の遜色もないその店に、僕はある日フラッと立ち寄った。休日の昼下がりだった。

「えらっさいませー！」 際どい発音が店内に響き渡った。 店員は中国出身の方だとすぐにわかった。 「なんめさまですか？」 私は人差し指をピンと立てた。少し緊張していた。実は、熊本の白山通りの中華は不味いと聞いていたからだ。

すぐに、カウンターへと通された。出てきた水を飲み終え、二杯目を注ごうとすると後ろに気配を感じた。店員だった。

「ご注文？」と聞かれたので、咄嗟に油淋鶏定食の大盛り！と答えた。店員はニコリともせず厨房へと踵を返す。この辺りはどこの中華も同じだ。中華で働く中国出身の方は70%の確率で愛嬌がない。

厨房では100％中国語で会話が行われていた。「さっき来た客の顎長かった！」みたいなことを言ってるのではないかとソワソワした。

間もなく、油淋鶏定食が現れた。早い。こんなに早いか？油淋鶏って結構時間かかるんやないのか？まぁいい、とにかく食べてみよう。まずはサラダ…。うん、普通だ。卵スープ、うん、まあまあてところだ。よし、本題の油淋鶏。一切れを箸で摘んだ。口へと運ぶ。

衝撃が走った。

あの早さだからレンジでチンだろうと思っていたばかりに、口の中で衣が音を立て、またきめ細やかに切られた肉の一つ一つにしっかりと味付けがしてある。一切の手抜きも感じられなかった。気がつくと、大盛りを完食しており、セットでついてきたコカコークをグイッと飲み干した。デザートの杏仁豆腐こそ少し味が薄かったものの、これは逸品だと確信した。

レジへと向かう。値段はなんと、850円。 量も質も良い。1500円でも食べにきたいくらいである。店員の愛嬌を引いても1000円くらいの価値はある。本当に素晴らしい店に出会った。皆さんもぜひ、愛嬌と店の綺麗さ以外満点のこの店に一度足を運ばれてみてほしい。