土曜の昼。 銭湯開拓のため、ふらりと立ち寄った。比較的空いてる時間帯なのだろうか？

何故か入口階段の両脇に座している無数のアヒルちゃんを眺めつつ、建屋そのものが新しいものでないことは直ぐに分かった。 剥げた後に塗り直したであろう床。確かに清潔なのだが、何となく埃っぽい印象を受ける壁。 風呂に至るための下り階段には鹿の剥製が角を突き出しており、何故かパリピみてぇなメガネを掛け、何故かパリピみてぇな自己紹介文が添えられている。何なんだ彼は。 広告の類と一緒に、地元の画家先生の鉛筆画が掛けられている。ほほ〜、上手いもんだ。絵画教室ね。

風呂そのものはスタンダード。 四人でぎゅうぎゅう詰めになる小ぶりな風呂が沢山ある感じ。何だかバイキングみたいだ。 36℃設定の不感風呂が露天にあるのは嬉しかった。あと良い感じの寝そべり椅子がある。 備品の類はかなり気を使われている様だった。風呂桶や椅子は、よくわかんないけどオシャンティな感じ。

しかし、明らかに常連っぽい地元の年寄が一杯いる銭湯というのは奇妙な安堵感がある。何ていう名前の心理状態なんだろう？

パリピな鹿の前を再度横切り、食堂へ。 メニューは、サ飯など、頑張ってるな～と思った。 しかし日替わり定食、君がエラい！ ささみチーズカツ定食、みぞれカツ定食、豚スタミナニンニク定食などなど……590円(2023/9時点、昨今の物価高は勘弁してくれ) 🍚が大盛り無料だと？　腹を空かして来れば良かったぜ！ うん、牡蠣フライ定食は大変に美味かったぞ。

食堂、受付……等々を含む二階エリアは天井が高く、なんとなく薄暗い。 この微妙な薄暗さが、風呂上がりの体で、得も言われぬ落ち着きを感じる。何だろう、この幽玄な感じ。新しくてビッカビカのサウナ施設には確実に無いものだな。

うろうろしてみる。 地元の野菜や手作りケーキ、駄菓子なんかが並んで売られてる。田舎者なので妙な安らぎを感じた。 漫画は結構沢山ある。チョイスが少し妙だ。お馴染みの、刃牙・タフ・GTOなんかと一緒に、タコピーの原罪・ルックバックなんかがあるぞ。名作。 屍鬼があったので読み返してみよう、去る青春時代に読んだものだ。沙子はかわいいなぁ。

「お休み処」なるスペースが隅に設けられている。 芝生風のカーペットの上に、ちょうどカプセルホテルのような"穴ぐら"が八つほど置かれている。秘密基地みたいだ。実際、穴ぐら内の少年はそんな風情だった。 穴の中には漫画を読むのに十分なライト、コンセント、USBポートがあった。ええやん。現代人の大方が満足する穴ぐらじゃこれは……。 貸出の枕やブラケットもある。にわかに住めそうな気がしてきた。少なくともディオゲネス哲人よりは快適だな。ちょっと昼寝。

まとめて。 古い建屋ながらも、職員の方々の細やかな努力と、得も言われぬ居心地の良さを感じられる銭湯だった。 気張らず、また来ようかなと思える、地元の良い風呂です。