その日、御老公一行は日本の昼餉を探しながら岩槻の街道を歩いておった。 助さん格さんを従え、腹の虫をなだめつつ辿り着いたのは、地元の働き衆でにぎわう町中華「永楽」。 暖簾をくぐると、炒め油の香ばしい匂いと中華鍋がカンカン鳴る音が迎えてくれる。
「さぁさぁ御隠居、今日は何を召し上がりますか?」 助さんがメニューを差し出す。壁には年季の入った短冊メニューが並び、麻婆、回鍋肉、ニラレバ、ラーメン、定食の数々…見るだけで腹が鳴る。
「ふむ、こちとら腹が減っておる。麻婆茄子定食とやらを大盛りで頼んでみようかのう」 御老公は軽く笑いながら注文した。 ――しかしこの選択こそ、この後の大いなる試練を招くことになろうとは、この時まだ誰も知らぬ。
ほどなくして厨房から響く中華鍋の音がひときわ高くなり、湯気とともに運ばれてきたのは―― 漆黒の宇宙船さながら、山をなしてそびえる白米の山! 艶やかなナスとひき肉の麻婆がとろりと光り、脇にはカボチャの煮物と漬物、そして湯気を立てる味噌汁。
「……おおおおおお……」 御老公の目が点になった。
「こ、これは…いかにも“盛り”であるな、御隠居!」と助さんが声を上げる。 「殿、これはまるで富士山ではありませぬか!」と格さんも狼狽。
御老公は扇子で顎をなでながら苦笑いした。 「うむ…腹が減っていたゆえ、軽々しく“大盛り”などと申したが…まさかここまでとは。わしもまだまだ浅はかよのう」
しかし引き下がる御老公ではない。 まずは麻婆をひと口――。 熱々のナスがとろけ、香ばしいひき肉の旨みとピリッとした辛みが口いっぱいに広がる。 「むむっ、これは見事じゃ!ナスが油をまといながらもくどくなく、味噌のような深みと唐辛子の刺激が心地よい!」
白米を大きくすくい、麻婆を絡めると至福の世界。 助さん格さんも同じものを頼み、両手にスプーンを握りしめて挑む。 「殿!このご飯、いくら食べても減っている気がしませぬ!」 「まるで砂漠で水を汲むような…いや、登っても登っても山頂が見えませぬ!」
御老公は笑いながらも、額に汗をにじませ黙々とご飯を掘り進める。 途中、カボチャの甘煮をひと口。 「ほう…優しい甘さよ。戦いの合間に癒しをくれるとは、これぞ主婦の知恵か」 味噌汁をすすり、再び麻婆と白米に挑む。
やがて御老公が大きく息をついた。 「ふぅ……これは腹八分目では収まらぬ戦いであった。だが見事、完食したぞ!」 店のおかみさんが笑顔で「よく食べたねぇ」と声をかける。 御老公は少し照れながら頭を下げた。
「いやぁ、わしもまだまだ修行が足らぬ。腹が減っているからといって安易に“大盛り”を頼むものではないと学んだわい。だが、それ以上に――地元の味というのは実に温かく、力をくれるものじゃ」
助さんがにやりと笑う。 「御隠居、次は何を食べますか? 永楽の他の定食も気になりますぞ」 格さんが続ける。「回鍋肉も旨そうでしたなぁ」
御老公は満腹の腹をさすりながら、少し悪戯っぽい目をした。 「ふむ……次は“玉子チャーハン”とやらを試してみるかのう。今日のこの戦いで学んだ。ご飯の山は慎重に選ぶがよい。しかし新たな冒険は止まらぬのじゃ」
店内の誰かがひそひそとつぶやく。 「……なんか見たことある気がしない?...
Read more焼き飯とチャーハンが別メニューとして存在しており、焼き飯激推しの方が数名見受けられたので、取り敢えず焼き飯から頂いてみました。
●焼き飯898円(税込)[背脂と醤油ダレが効いたチャーハンです] ※[ ...
Read more人気の店と聞いて、休日の夕方に訪問
チャーハン大盛り 酢豚定食 豚角煮丼 イカフライ単品 肉まん 以上を注文。
チャーハンは、薄味でチャーシューにしっかり塩味がついているタイプ。具だくさんではなくご飯メインでした。可もなく不可もなく、少し盛りが良いくらいの感想でした。 中華スープが器が少し大きく量も多めで、昔ながらの中華そば的な味で、これはとても美味しかった。
酢豚は、癖の少ない食べやすい味付け。酢も強くないので子供も安心です。具材もバランス良いですが、野菜に少し心が残っていたのがちょっと残念。ここは好みでしょうか。
豚角煮丼は、中華でありがちな香辛料の香りがしっこり効いているので、日本の豚角煮とは食べたイメージが違います。 八角でしょうか、いろいろ使っていそうですが、その辺り苦手な人や、日本の豚角煮をイメージしている人は、ちょっと味付けの想像とが違うかもしれません。 ただ、お肉のトロトロ具合は素晴らしく、本当に箸で切れる柔らかな角煮丼で、私は楽しめました。
イカフライは、期待が大きすぎたせいで少し肩透かしでしたが、至って普通のイカフライでした。特筆すべきは具にプリッと感。サクっではなく、コリに近いくらいのプリッとした食感で、素材の鮮度の高さが感じられます。 ただ、ボリュームは価格に対し少なく、このプリッと食感を求める方向けでしょうか。 付いてくるのはシャバシャバのウスターソースなので、フライには絡めにくく、付け合せのキャベツ千切りは、ドレッシングやマヨネーズ等もないので、ウスターソースで食べるしか無く、もう少し工夫が欲しいところです。もしかしたら、言えばくれたのかもしれません。
肉まんは、竹籠の蒸し器で蒸したてで提供され、ボリュームもありとても美味しいです。具もたっぷり。独特の香りなどもなく食べやすい。子供も喜んで食べてくれました。
ご家族経営なのか、常に忙しそうで、お店に入っても誰も来ず、声掛けもなく、どうすればよいか立ち往生しました。が、特に問題はありません。声をかければキチンと対応してくれます。 たとえば、子供に取り皿をくれるときに何も言わずにゼリーを添えていてくれていたり、町中華の粋な気遣いを感じました。
すごくきれいな格式ある中華屋さんを期待するのではなく、町中華として雰囲気やあり方含めて、楽しめる方には大変オススメです。
24年2月現在、paypayコード決済使...
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