【人生最期の食事を求めて】 仙台牛タンという選択の迷走。(後編)
昨夜のたんや善治郎において「上撰極厚真中(しんちゅう)たん焼き」単品三枚をおかわりした影響は微塵もなかった。 それどころか、この日の午前中に仕事を終えても牛タンへの想いはまだまだ尽きることはなかった。
早朝からの仕事が思いのほか早めに終わった。 移動時間を考慮しても牛タンを堪能する時間はある。 仙台の牛タンはもう最後もしれない、という昨夜の諦念をたやすく打ち消すように足早に仙台駅前に向かった。
仙台駅と言えば行き交う人々が四方八方無秩序に蠢き、空隙を縫うように蛇行しながら歩かなければならないほど混雑するのだが、近年のコロナ禍の影響によってどことなく閑散とその空隙にも余裕があった。
歩くほどにまざまざと蘇って来る仙台転勤時の記憶。 人生の低迷期をあれやこれやと試行錯誤し、希望と期待、困難と不安との交錯とせめぎ合いの日々を繰り返し過ごしては、自らを奮い立たせるために牛タンを追い求めたあの頃。
良かれ悪しかれ、組織というものはシステマティックに事象を判別し、無表情のままにその事象が動いていくことに、半ば諦めながらも半ば反感や反発を抱きながらも、情け容赦のない無力感に苛まれ、その度毎に私は牛タンを欲した。 それは私が私を奮い立たせるためではなく、自己憐憫からでもなく、ただ美味こそが数少ない救済のように思えてならならなかったのかもしれない。 私は会社という組織に帰属する私ではなく、私は私であり、そこに会社という組織が付随している、という自己認識から出発したことが、きっと根深い疎外感の核であったことは否定できなかった。
初冬の引き締まった空気も日差しが雲間から顔出すと、春のように穏やかで歩くほどに体が火照っていく感触を捉えた。 その火照りは、もしかすると牛タンへの絶え間ない希求から生じた微熱なのか?
仙台駅東口は相も変わらず無味乾燥とした風情で、西口の活況が嘘のように沈んでいる。 工事車両が行き交い、作業員や警備員が忙しなく寡黙に動き回っていた。 どの街も再開発の動きが活発なのだが、従来のスクラップアンドビルドを繰り返すだけのやり方に唾棄すべき何かに揺り動かされれた。彼らは目の前の与えられた仕事を生活の現実として捉え、資本主義がどうだとか共産主義がどうだとかという観念論ではなく、今この仕事によって衣食住にありつける現実主義者にほかならず、唾棄すべき対象ではないのだ。 私は足早に工事現場を背にした。
見慣れたコンビニエンスストアを通り過ぎる。 するとホテルの1階に、その店はいつもの佇まいで存在していた。 その風貌は以前とまったく変わっていない。 まもなく11時だった。 想像をしていた行列はない。 何の滞りもなく入店することができたのは、禍中の小さな幸いということだろう。
スタッフが素早くテーブル席を案内し、番茶を差し出した。 見慣れたメニューに軽く目を向け、食べ慣れたメニューを選ぶまでだったが、その料金に瞠目した。 「牛タン定食1.5人前」が3,850円に跳ね上がっていた。 だが、この料金に屈して枚数を減らすことは抜き差しならない敗北を意味するのだ。 11時ながら、私は自らの冷静さを取り戻すために生ビールを注文し、意を決して「牛タン定食1.5人前」のライス大盛とオプションのとろろ(363円)を付けて挑んだ。 ジョッキごと冷えた生ビールの爽快さは、注文したことを肯定していた。 一気に飲み進めたいところだが、牛タン定食の到来を待ちわびながら流し込んだ。
さすがにコロナ以前というほどでもないのだが、周囲の空席は気がつくとキャリーケースを手にした来客によって確実に埋まってゆく。
さほど待つことなく、それは以前と同じ姿をして現れた。 茶褐色のバランスよく焼かれた牛タンの肉片、ネギがたゆたうテールスープの馥郁たる香り、鮮やかな玉子の黄身が浮かぶとろろ、そのどれもが以前の記憶を忠実に再現している。
この店の最大の魅力であり「たんや善治郎」とも異なる点は、牛タンをわさびに付けて食する点にある。 牛タンの質そのものや微細な相違点は、正直言って理解できないが、一味唐辛子とは異なる牛タンの旨味を引き出すわさびの効果は著しい。 このスタイルに魅せられて通い詰めたほどだ。 さらにテールスープの奥底に沈む牛タンの断片は柔和な噛みごたえで、それだけでも麦ごはんを楽しむだけの魅力を秘めていた。 かてて加えて、卵の黄身の載ったとろろに醤油をたらし丁寧にかき混ぜて麦ごはんに掛けて頬張るスタイルも牛タンを楽しむための普遍的スタイルとして定着している。 一切れ一切れ肉の断片を、時にわさび、時に味噌南蛮による味の変化を愛おしむように愉しんでは麦ごはんを掻き込み、テールスープで口中を再起動するという、言わば至高の循環に至るまでだ。
最後の一切れは、当然わさびで締めることも自己規則である。 鼻腔から突き抜ける旨味と辛さの類まれなる融合によって、牛タン定食は完結した。 食後には一点の後悔の余地もなかった。
まだ12時前だった。 人によって特権意識の実感は異なるだろうが、私にとって午前中に飲むビールこそ特権階級の具現性である。
店を出て再び仙台駅へと目指した。 優しげに振る心地よい日差しの中を牛タンとビールの余韻に浸りながら、雑踏の中に...
Read moreThis place was quite tasty but signature plates are small portions and we didn't quite understand you were suppose to buy smaller side side dishes to round out your dinner.
Every bit of meat was tender and cooked to perfection, bursting with flavor. It can get pricey though, and again we didn't parse ll a basic menu option that came with rice, soup and a portion of grilled meat that we could have built our dinner around.
Friendly and boisterous staff greet new patrons and shout out orders to the kitchen.
Table seating, with bar seating along the back wall and kitchen. Come early or...
Read more2年前、持病のある娘が縁あって、 コロナ禍の続く中、仙台の大学に。
神奈川から、 体のケアと引っ越しの手伝い、 新生活準備のため、 私も同行しました。
最初の週は、 ウィークリーマンションに泊まり、 最後の数日は、 東口にある、ホテルに宿泊。
そのホテルから、毎日娘の部屋との往復の際、どうにも気になったのが、 この、ダイワロイネットホテル一階、 司の東口店です。
見るたびに、長い行列…。 そんなに、美味しいの?、と。
それまで、駅内の 牛タンストリート等で食べていたので、 司という名前を、知らなかったのデス。
神奈川に戻ってから、検索。 やはり人気店で、お肉はオージービーフなど使っているそう。
それなのに、あんな長蛇の列とは〜
よほど、美味しいの??と、 どんどん気になって。
その次に、娘のもとを訪れた折、 2人で夕食に、行ってみることに。
平日の、午後8時位。 やはり並んでいて、 入店できたのは、午後9時頃😱
お店の雰囲気は、まぁ、ごく普通。 活気はあります。
ホテルのレストラン、という感じでなく 居酒屋とか、 他のチェーンの牛タン屋さんと、 あまり変わりません。
カウンターに案内され、 ハキハキした元気なお兄さんが、 注文をとりに。 接客は、特に問題なし。
母娘とも、 4枚の牛タン定食を、注文しました。 オージービーフということですが、 値段は、夜のせいか、お高め。
お味は、塩こうじとか漬けてるのかな? むしろ、柔らかくて、美味しかったです😊 テイルスープも、グッドです♪
店内はTVがついていて、 私たちの後も、お客様は続々、入店。 駅のそばですし、 近隣の方には、愛され、支持されている お店だなぁ、と。
1つ気になったのが、隅に貼られてた、 お店のポスター。
牛のつの?生やした 美少女キャラが、 伊達タン子、と命名されていました🤣
タン子は、ひどくないか?名前。
私が娘に、このポスターを指摘すると、 娘いわく、
それも気になるけど… タン子の隣りが、 エンジェルっていうの、謎
だと。
見ると、タン子の隣りには、 同じく牛のつの生やした、 金髪の女の子が。 それにはなぜか、エンジェル、と命名。
オージービーフが、エンジェルで、 和牛が、伊達タン子、なんでしょ〜
と推測する娘。 なんちゅう、設定😂 わかりづらいよぉ。
何なの、エンジェルって。
そこは、王子ビーフとかさ… (叔父のビフです、でもいいけど。) 王女ビファとか、 お嬢ビッフィとかに、しないのか〜い。
それは、さておき。
美味しかったので、半年後、 主人連れて仙台行った時も、こちらへ。
連休だったので、行列になると思い、 6時に伺ったら、 なんと、スムーズに入店でき😳
本場の牛タンに、夫も満足しまして。 タン子ポスターも、見せて。 ハイ、こっちがオージービーフのエンジェルね、と。
娘は、今回はビーフシチューにする♥ と、11月らしい選択。 夫と私は、4枚の牛タン定食です。
7時半には、退店。 その頃には、 やはり、行列ができていました。
立地は申し分なく、 接客も、明るくて元気。
行列が、タイミング悪いと長く待つのと、 ちょっと夜は高め、なのが、玉にキズ。
他県から来た人を連れて行ったり、 お手軽に、美味しい牛タン定食を食べるには、 おすすめのお店かと思います。
追記 伊達タン子は、だっちゃ♥ と話しており、 仙台の方言なのだと、 初めて知りました。勉強になりますネ。
仙台に初めて来た頃、思ったのは、 美少女キャラのポスター、多い…
地下鉄の青葉ひかる、 松島の松島名月、 トドメの、伊達タン子&エンジェル。
宮城は、2...
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