筥崎宮は、博多駅の北3kmほどの福岡市東区馬出に鎮座している筑前國一之宮で、筥崎八幡宮とも呼ばれます。旧社格は最高位の官幣大社です。

国道3号線沿いにあり、駐車場は国道3号線を挟んで本殿側と博多湾側に大きな駐車場があります。

筥崎宮は、京都府八幡市の石清水八幡宮、大分県宇佐市の宇佐神宮とともに三大八幡宮の一つです。

延喜21年（921年）に八幡神の託宣があり、応神天皇・神功皇后・玉依姫命を祭神として筑前国穂波郡の大分宮を玄界灘に面した土地に移したのに始まります。 延長元年（923年）に現在地に遷座しました。 元寇（1274年・1281年）の際に亀山上皇が「敵国降伏」を祈願し、神門に「敵国降伏」の扁額が掲げられました。以来、海上交通・海外防護の神として信仰されています。

主祭神は、応神天皇・神功皇后・玉依姫命です。

本殿は、延喜21年（921年）に藤原真材により創建されました。 その後、数度の焼失と再建が繰り返され、戦国時代に戦火兵乱により荒廃しました。 天文15年（1546年）大宰大弐の大内義隆によりに再建されました。 本殿は46坪、桧皮葺の流造様式で左右に縋造車寄があります。

拝殿は、檜皮葺の切妻造・二重虹梁・蟇股です。

楼門は、名島城主の小早川隆景が文禄3年（1594年）に建立しました。 三間一戸、入母屋造り、檜皮葺の最も通例の楼門で、国指定重要文化財の楼門としては、県下では唯一のものです。 この楼門は桃山初期の建築ですが、広大な屋蓋、扉の桐花紋の彫刻は、むしろ室町末期の様式を残しています。 楼上に揚げられた「敵国降伏」の額は宸翰（紺染小形色紙に金泥でもって謹書されている）のうち１葉を模写拡大したものですが、この額のために、この門は「伏敵門」とも呼ばれています。 この宸筆は、文永の役（1274年）後、社殿再建に尽くした亀山上皇の下賜になるものと伝えられ、現在の扁額は平成15年（2003年）に復原作成されたものです。

石造一之鳥居は、福岡藩初代藩主の黒田長政公により慶長14年（1609年）に建立されました。 鳥居の柱は3つに切れ、下肥りとなり台石に続きます。 笠木島木はひとつの石材で、先端が反り上がり、貫と笠木の長さが同じです。

神木「筥松」は、楼門の右手の朱の玉垣で囲まれる松の木です。 神功皇后が応神天皇を出産した際、胞衣を箱に入れてこの地に納め、印として植えられたのがこの「筥松」と言われます。 「筥崎（箱崎）」の名称はこの胞衣を納めた箱に由来します。

亀山上皇尊像奉安殿は、平成23年（2011年）に1億円をかけて建立されました。幅約9m、奥行き約12m、高さ約9ｍです。 奉安殿は、福岡市博多区の東公園にある銅像「亀山上皇」立像の原型となった木像（県指定文化財）を安置するものです。 木像は高さ約6mで、博多区出身の木彫家、山崎朝雲氏が明治35年（1902年）に銅像の原型として制作しました。明治期の木像としては最大級とされます。

博多湾からは本殿まで長大な参道が続きます。 参道の手前の箱崎浜一体は、以前は白砂青松とうたわれた美しい海岸線でした。 道の先の海岸は清めの真砂を貰い受ける「お汐井とり」が行なえるよう砂地が整備されています。

毎年9月12日～18日の放生会は、命を尊び、海の幸山の幸に感謝する祭りです。博多三大祭りの一つとされます。 素焼きのおはじきや、ガラス製の音が出る玩具「ちゃんぽん」が売られます。1kmの参道に各種露店が並びます。 放生会はたくさん露店がありますが、食べる気がしなかったので、参道沿いの「静香」でチャンポンを食べて美味しかったです。境内ではアコースティック・ライブが行われていて楽しかったです。

神社のある「箱崎（はこざき）」という地名は、かつてあった筑前福岡藩の糟屋郡（かすやぐん））箱崎村に由来します。 明治22年（1889年）箱崎村、下臼井村が合併して箱崎町となりました。 昭和15年（1940年）箱崎町は福岡市へ編入されました。