大阪府門真市にあるパナソニックミュージアム「松下幸之助歴史館」と「ものづくりイズム館」を訪問しました。
「松下幸之助歴史館」は、松下幸之助の一生を描くと同時に、日本における20世紀の変遷や、パナソニック(松下電器産業、ナショナル)という企業の歩みも感じさせます。 わずか9歳で生家を出て大阪市の商家に丁稚奉公へ行くというスタートからして、現代の社会と大きく状況が違い、衝撃を受けました。その後、自転車販売店で働いて商売を覚えたり、電気工事の仕事を通して、これからの時代に電気製品が重要であることに目覚めたりして、やがて、電球のソケットを製造することにより自らの商売を起こします。それ以降、何度かの危機がありながらも、人口増、経済成長、生活の電化などの波に乗り、巨大なグローバル企業へと成長していきます。 時代順に7つのステージに分けて展示されている構成が、見やすいです。 各パネルには、イラストが添えられており、ストレスなく文字情報を読んでいくことができます。 売り上げが落ちた時に経営者としてどのような判断をするのかなど、経営者に参考になりそうな松下氏の発言が随所に散りばめられています。 特に印象的だったのは、受注が半減した時に、工場労働者の給料は減らさずに作業時間を半分にしつつ、上層部の社員に休日返上で商品を営業してまわらせたこと。松下氏が、短期的な損失に惑わされず、長期的な視点で人材の重要性を深く理解していたことをうかがわせます。このコロナ禍において、改めて松下氏の価値観や発言を再度たどり直す必要がありそうです。
一方、「ものづくりイズム館」は、パナソニックの製品の歴史にスポットを当てた資料館。パネル展示や文字情報の分量を最小限に抑え、実物を見せていく展示構成としているため、「勉強」よりも「体感」の要素が強い展示内容と言えます。 円弧状のバーティションでテーマごとに空間が緩やかに区切られているため、リズム良く見ることができます。 展示物を見ていて感じたのは、自分の人生の中で、パナソニック製品であることをあまりはっきりと意識しないまま、冷蔵庫、テレビ、ラジカセ、デジカメなどのさまざまなパナソニック製品を使っていたということ。もしかすると、多くの人が「これ、若い頃、使ってたなあ。懐かしい」と感じるかもしれません。例えば、もしソニーやダイソンの製品を使う場合は、そのメーカー名を比較的強く意識しながら使うのではないでしょうか。そう考えると、あまり強い個性を前面に押し出さずに、日本人の日常生活が快適で便利になっていくことを全般的に支えてきた。それがパナソニッ...
Read more今から50年以上前、中学生の時初めて大人用サイズ で変速機付きの自転車を買って貰った。それは住ん でいる町の自転車屋からでなく、他県の父の実家か ら送られて来た。父の実家は電気工事業で当時はナ ショナル電気の販売店でもあった。父が梱包を解き ペダルとサドルを取り付けてくれた。初めて見る自 分の自転車それがナショナル製だった。当時は全く 気にしていなかったが、今思うと家電メーカーが自 転車を作るのは不思議だ。他の家電製品との共通項 は無く、全くの別事業だろう。その疑問、隣の「松 下幸之助歴史館」を見て解けた。松下氏が実質的に 商人としての心得、商いの考え方を初めて教えられ たのが自転車屋だったからだ。六年に及ぶ奉公の間 に、おかみさんに可愛いがられたこともあり、自転 車に大きな愛着が生まれたのだろう。ナショナル電 気創生期のヒット商品に自転車の前照灯があるが、 それも「自転車がルーツ」という松下氏の思いと無 縁ではないのだろう。今パナソニック製自転車とい えば電動アシストだが、1980年最初に作ったものは 原付扱いで自転車と認めて貰えなかったとか。生き ているうちに町を走る姿を見られなかったの...
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