(文字数オーバーとのことで前略)
私は11:40に外待ちが発生した時点で冷酒を僅かに残すものの串カツの皿と天津飯は食べ切っていた。なのでそろそろ退店して席を空けようと思ったのだが、外待ちの3人はどうやら家族連れらしく私が座っている2人掛けのテーブル席を空けても入れない状況だったので、少々申し訳ないと思いながらももう少しいることにした。ドアに最も近い席だったために、外の状況も店内も全て自然に確認できるポジションだったのが幸いした。
そして、時間延長の根拠としてラーメンもいただくことにした。腹具合としてはちょうど八分目だったが、やはり看板メニューであるラーメンもいただきたい。何しろこの日を逃すと3ヶ月後にしか食べられないのだ。
“後悔先に立たず”
まさにそんな言葉が頭に浮かぶ状況だったわけである。後客のバックオーダーが溜まっていたが、相変わらず女将がしっかりとそのオーダーを管理しており、しかも天津飯の例のように製造順の最適化もしている。53年の歳月をここでも感じるのである。そして、私が頼んだ『もやしラーメン』も予想以上に早く配膳された。どうやら後客の親子連れの注文品と同じ製造ロットにしてくれたようである。“ナイス女将!”と心の中でサムズアップした。
店内呼称が「ラーメン」という点でも分かったのだが、この店のデフォルトと思われる『もやしラーメン』はシンプルで安心して完食できる優しい味だった。昨今のリッチなスープではなく、鶏ガラベースの昭和な時代を彷彿とさせるあっさりマイルドな醤油味だ。これなら完飲しても胃もたれはしないだろうと、昨日食べたラーメン店でのことを思い出すOYAJIであった。
麺は細く長く柔らかな仕上げでつつつっと食べられた。
そのようなラーメンをゆっくりとしたペースでいただいていると12時過ぎにソロ客が入店してきた。先ほど女将が『麺があと1人前になったので今日は終わりになるわ』と独り言のように話した。きっと大将への伝達事項だったのだろうけど、やはり私が余計なお世話の如く「確かに2人以上が一緒に来たら対応できませんしね」と言った。女将はその言葉には反応せずに、ゆっくりとした動作で半開きのドアに掛かっていた“営業中”の札を裏返した。
ところが“準備中”表示でありながら、更に客が入ってきた。女将はその客を止めるのかと思いきや、奥のテーブル席に案内したのだ。その客は『特製チャーシュー麺』を頼んだようで、女将が大将に『チャシューまだあるよね?』と確認していた。大将は無言だったがそれは『まだある』と言う暗黙の返事のようであった。阿吽の呼吸というか以心伝心というか、さすがである。
そんな状況の中、さらにガテン系のオヤジが入ってきた。みんな“準備中”の札は無視するようである。
女将は札を“準備中”にした時に、私に向かって『扇風機が止まるけど(ごめんね)』と言いながらドア横のスイッチも切った。おそらく外の“行灯”を入り切りするスイッチのようで扇風機も連動する仕組みだったのだ。
でも、昼間の明るいうちはまさに“昼行灯”の如く機能していなかった。点いているかいないかが分からないのだ。夜ならきっと営業中か否かが分かると思われたが、女将の思惑は外れたようである。想像するにランチタイムの途中で店を準備中にすることは過去になかったかレアケースだったに違いない。夜の部ならそういう状況も普段でもあっただろうから、その時はきっと同じようにして店じまいにかかったのだろうと想像する。
店じまいモードとはつゆ知らないオヤジに対して女将が『もう終わりですよ。ラーメンも売り切れです』と告げた。するとオヤジは少し考えて「炒飯できる?炒飯2人前、1つは持ち帰りで」と注文したのだ。なかなかの粘り腰だ。結局、女将はその注文を受けたようで、ガテン系オヤジはカウンター席の中央にドカンと腰を掛けた。
その後も客がドアから顔を覗かせたが女将の『今日は終わりです』の言葉に素直に反応して「また3ヶ月後に来ます」と言って去っていった。やはりみんな翌日からの休暇を知っているようだった。
こんな感動的な日に、しかもエンディングの瞬間に立ち会えたことはラッキーというしかなかった。“思い立ったが吉日”とはまさにこのことである。
「ごちそうさま、私もまた3ヶ月後に来ます(ご自愛ください)」
そんな言葉を残して店を後にした。小降りになった雨の中、傘をささずに最寄駅に向かうOYAJIだった。腕時計は12:30をさしていた。
ごちそうさまでした。
=====サマリー=====
【品切れ】 ビール 餃子 麻婆豆腐(豆腐) 冷酒(2本のみ、11:20に売り切れ) 麺完売(12:25)
【店じまい】 通常は14:00閉店で夜の部もあるが、この日は12:30少し前に閉店となった。9ヶ月間お疲れ様。夏休みをゆっくり過...
Read more2021/2/28(日曜) 13:00...
Read more今から22年位前、よく来ていた食堂。コロナ禍とご高齢のため夏場は長期休業されているのを2年前に知り来た時は休業だった(涙)。 退職して第2の人生となり、前の職場の昭和支店に行ったついでにどうしても行きたくなり、ほぼ22年ぶりの訪問になりまた営業されてました(笑)。 店構えは当時のまま‥。 来月7月から9月末まで休業されるとあったので訪問です。 昔ながらの紙に書いた色褪せたメニュー表が並ぶ。 昔よく食べたロースカツが食べたくなった。味噌はさらっとした甘過ぎない味噌だった覚え。 「ロースカツ定食、味噌」(税込750円)を注文してメニューを待ちます。 店は昔と全く変わってない。店の奥に古い昔のクーラーが設置されているが、コロナ禍の影響か出入口も半開き、奥の勝手口が全開でまだ風が抜け気持ちはいいですね。 15分程待ちメニューが配膳。 これこれ‥。さらっとした味噌ソースがかかったロースカツは美味しそう。 マカロニサラダに、ニラ玉まで付けてくれてこれでこの値段ならかなり安い。 ロースカツを早速いただく。 まずまずの厚みのカツで甘過ぎない味噌が美味いし、ロースカツも美味い(笑)。 小鉢にニラ玉。 ここが中華料理店なのを忘れてました。 固めに焼かれたニラ玉でしたが、一品つくと嬉しく感じてしまいます。 昨日まで食欲もなかったのですが、今日はご飯まで1人前完食してしまいました。 ご主人もかなり歳をめされ、耳もかなり遠くなった様子‥。 いつまでもやっていて...
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