Shina-sobaya

佐野氏現役時代の藤沢の支那そばやに、何度も足を運んだ事があります。 もう、佐野さんのラーメンを食べる事は、出来ないんだと、確信しました。 転勤で神奈川を離れて、25年経ちますが、一度も佐野氏のラーメンの味を忘れた事は有りません。 どんな味だったのか、皆さんにお伝えする事は出来ると思います。

平日休みを取らなければ食べられない、何時も行列のお店でした。 そのラーメンの味は、正に美味しんぼに出てくる、究極のラーメンとしか言いようがない、食材全てが厳選され、全体としての完成度は感動するレベルで、未だにあの味を超えるラーメンに出会ったことはありません。 私は、いつも醤油ラーメンを食べていました。 味噌も美味しかったけど、醤油が好きで、忘れることの無い味です。 スープは濃厚でいてしつこくなく、ハッキリとした濃口醤油が主張する、旨味とコクが完璧でした。麺はストレートの中太麺で、しっかりとした歯応えの腰と、麺の味自体も美味しく、何よりもラーメンに1番大事な、麺とスープの融合度も完璧でした。 藤沢のお店は、丸見えの厨房を囲むようにカウンター席しかなく、黙々とラーメンを作る佐野氏が丸見えで、見て盗めと言わんばかりの作りでした。 ガチンコに出て、有名になってしまいましたが、あの番組で佐野さんは1度も、支那そばやのラーメン自体の作り方は教えていないと思います。 暖簾分けしたのは、ラーメンに対する向き合い方に魂があるかないかであって、暖簾分けしたお店のラーメンを複数食べましたが、どれも、そのお店の人のラーメンであって、支那そばやの足元にも及ばない味で、やっぱりなと思いました。

暖簾分けのお店は、佐野氏の支那そばやの看板で儲けようとせず、支那そばやの味とは違うと、ハッキリ明示すべきだと思います。 テレビで取り上げられ、これが佐野さんの味なんですねと、佐野さんのラーメンを食べた事がないアナウンサーが紹介していて、自分が恥ずかしく無いのでしょうか。

私と同じ様に、佐野氏のラーメンを食べた事がある人は、このお店のラーメンの麺が、細麺になっている時点で、佐野氏のラーメンでは無いことは分かりますし、食べて確信しもう食べれないんだと消沈する気持ちしかありません。

究極の美味しんぼの漫画に出てくるような、佐野氏の支那そばやのラーメンは、初めて食べた時の感動のまま、永遠に残っていることに感謝です。 日本全国のラーメンどれを食べても、佐野氏のラーメンに似ている味を、一度も感じた事はありません。 それだけこだわった作りの、美味しいラーメンでした。 佐野さんのご冥福をお祈りいたします。 そして、感動のラーメンをありがとうございました。