森の中の美術館。2025/10/1まで山下大五郎展を開催、小学生まで無料。 山下大五郎は、立軌会を設立し、戦後の日本美術史において独自の足跡を残しました。 日本のトップ50に評価されています。20号で20万、30号で30-40万で、積極的に国内で流通しており、ゆっくり上昇していく画家です。 彼の画業は、教員、戦争、シベリア抑留という体験から、その表現を劇的に変化させていく点に特徴があります。
抑留からの帰還直後、彼の絵画は、その精神的な傷を反映し暗く沈んだ色彩で描かれました。深い心の闇を伝えます。
その後、農家や農村風景で人々の営みを描いた作品で生命力を描き、ピカソやセザンヌに代表されるキュピズム技法も取入れています。人々の生活を想像した温かい視線が感じられます。
安曇野、戸隠、魚沼、米沢、丹波、といった日本の原風景をテーマとすることで、故郷への郷愁と、日常の幸せを表現したのではないでしょうか。 北アルプスと安曇野を描いた作品群では、その表現はさらに進化し、印象派を思わせる光の表現が顕著になります。 大胆に描かれた光は、空気や空間広さ、季節の移ろいをみごとに描いています。
画家の奥様と旅をしながら、画伯が辿り着いた境地は、人々の営みと光と空気が表現できる安曇野の原風景でした。
山下大五郎の画業は、人間性の回復と、絵の中にあって描かれていないもの物を表現した事です。
単なる風景画としてではなく、彼の人生の変遷と表現の根底にあるものに注目することで、より深く作品を味わうことができるでしょう。 作品量も50点くらいの展示があり非常に貴...
Read more7/30/2024 果たして「山岳絵画」というジャンルが存在するのか、との疑問を胸の片隅に参観した。700円。 渡された案内パンフには、「麓から見上げて描く風景画とは一線を画し、頂上或いは頂上近くの険しい尾根筋にイーゼルを立て〜」とあった。 神奈川県に育った小生は高校時代から20代の前半にかけて、北アルプスによく通った経験がある。 今それを思い起こすと、北アの山稜で目撃した凄まじい景色、冬山の吹雪の一瞬の切れ間に見た山の凄絶な美しさは、ある種異界の、心の風景に近いもので、それを再現する、あるいは他者に伝えることは、どだい無理ではなかったか。 展示を参観した感想はそんな感じで、やはり山稜の美を客観的な美として伝えることは不可能で、滝谷の美しさをキャンバスに映すこと自体自然に対する不敬で、欧米に山岳絵画というジャンルを見ないのも道理...
Read moreこじんまりとした山腹に立つ美術館。35周年記念の「足立源一郎・畦地梅太郎展」を鑑賞するために訪れました。数台は駐車スペースがあるので、車でアクセスが可能です。入り口をまっすぐ進むと常設スペース、すでに二組のご夫婦が鑑賞中でした。出で立ちはいかにも岳人、やはり山が好きな方が此処を訪れるのでしょう。特に峻険な槍ヶ岳の風景が印象に残りました。足立源一郎さんは、あくまで山上で描くことにこだわり、徹底した現場主義を貫いた画家。遠くから眺めて描いた山の絵とは迫力が違います。山に大きなカンバスを担いでいくわけにはいきません。勢い、数号の小ぶりな作品になるのは当然です。館内には庭を臨む居心地のよさそうなカフェを併設、山好きにはオス...
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