国鉄民営化を控えた最後の年、青森から函館旅行に出かけたときのことを今でも覚えている。行きは大雪丸、帰りは摩周丸に乗船した。まだ子供だったので船酔いがひどく、特に行きの津軽海峡は波が高くて怖く感じた。けれども、やはり青函連絡船の旅は特別だった。波間にイルカが泳いでいるのを見つけた。エアバスと比較しても圧倒的に巨大な客室。はるか昔の記憶になったが、それでもなお強烈な印象として心に残っている。 コロナ禍の夏、実に30年以上の歳月を経て、摩周丸の甲板に帰ってきた。函館に宿を取った最初の日から、折に触れて目に入る摩周丸の姿は感慨深いものだったが、いざ近寄ってみると改めて懐かしさがこみ上げてくる。総トン数8,000tの堂々たる風格。噂では傷みが酷くボロボロになっていると聞いていたが、幸い全面改修されたばかりで新品のようにピカピカに塗り替えられていた。 上甲板の客席の一部、船首のラウンジ、プロムナードデッキ、そしてブリッジが開放されているほか、座席を取り外したフロアには連絡船の歴史や技術にまつわる展示スペースが設けられている。さらに、洞爺丸受難に関する資料や当時の新聞記事なども保存されている。 特にブリッジは素晴らしく必見の価値あり。高さが高さだけに眺めがよく、また保存状態もかなりよい。記録フィルムなどで見るブリッジの姿をそのまま留めていて、非常に興味深かった。17時になると運航当時と同様の汽笛が鳴らされる。上甲板にいると驚くような大音響なので注意が必要だが、昔ながらの音色が息づいていることに感動できるはずだ。 最上層から潮風にあたりつつ眺める函館の街並みは壮観。海を見渡せば連絡船で旅をしている気分になれる。私が訪問した時は喫茶店は閉鎖されていたが、コロナ禍が去れば営業再開されるだろう。 係員の方と少し話したが、函館市の所有で維持予算に限りがあり、財政的に極めて危機的な状況のようだ。選挙で市長が入れ替わると摩周丸の維持に対する市の態度が変わり、予算が上下するらしい。こんなところにも政治の影響が及ぶのかと訝しく思った。なお、巨大な船内で開放されているのは1/3程度のみで、肝心の機関室や鉄道車両甲板などは閉鎖されているが、どうも原因は滞留したままのアスベストらしい。特別に徹底除去して安全を確立した場所のみ一般公開しているのだ。この時代の船はどのタイプもアスベストだらけである。甲板には継ぎ板を当てて補修しているところがいくつもあるが、板を一枚当てて補修するにも6桁のお金がかかる。しかも、博物館として建築基準法に則った運営が必要なだけでなく、構造上まだ「生きた船」として海に浮いているため、船舶としての基準を維持した管理が必要なのだそうだ。一般人からすると想像もできないような多額のお金がかかるのである。 個人的には氷川丸のように国の重要文化財に指定して、国から予算を回してもらえるようにするしかないのではと思うが、どうも函館市は乗り気ではなさそうだ。貴重な歴史遺産であることは間違いないので、なんとか維持してほしいのだが……そのためにも多くの人に訪れてもらって入場料収入を確保していく必要がある。わずか500円の見学料で、これだけの経験ができるのなら、十分に元が取れる。函館を観光の折には是非とも乗船して、昭和時代のロマンに浸るとともに、素晴らしい函館ベイエリアの景観を楽しんでほしい。 結局、名残惜しくて閉館まで滞在した。夕日に映える船影は格別に美しく、実に見応えのあるものであった。今後も勇姿を留めてく...
Read moreInteresting experience. Also a must-visit, when heading to Hakodate. Unfortunately, there is a very small share of English descriptions. Still, it is a great experience, just to be here and see all those special rooms like „radio-room“. You can’t enter the machine rooms. I am not sure, but if you have the JR Railpass, this museum could be for free, because it was operated by JR. Just ask. Otherwise, the admission fee was 500 Yen per adult,...
Read moreIt is a nice museum reformed from a previously used ferry. Some parts of the ferry, such as some seats/ sleeping space, are still nicely maintained. You can find a lot of exhibits showing the history of Japanese ferry and maritime development. A detailed video showing the marine disaster can also be found. Not a must-go place but still a nice visit if you have time...
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