【浜松・寺院「龍雲寺」静寂と美の調和を感じる龍雲寺で世界一大きい般若心経を拝観】
浜松の佐鳴湖湖畔に位置する「龍雲寺」。こちらは、今から約700年も前の南北朝時代の1330年代に遡り開山、御二条天皇の御皇孫にあたる木寺宮康仁親王が創建された臨済宗の寺院となり、歴史的価値と現代的な美が融合した特別な場所です。
現在は、2018年4月に第22世住職として就任された木宮 行志(Koshi Kimiya)さんが管理・運営を任されており、坐禅会をはじめ、子供サマースクールなど様々な企画を通じ、地域での布教に努める一方で、寺院の枠にとらわれることなく、ボランティア活動であるお寺婚活として「吉縁会」というご縁を紡ぐ会を発足するなど、多方面で地域と寺院との関係性をより密なものにされてきています。龍雲寺は、心が落ち着く静寂の中、参道を歩むところから始まります。訪れた日は冬の雨上がりで、しっとりとした風情が漂っており、雨粒を含んだ木々や地面の輝きに、澄み渡る空気、そこには特別な静けさが感じられます。鳥のさえずりや風が木々を揺らす音に耳を澄ませながら一歩一歩進むと、忙しい日常を忘れ、心が静かに整っていく感覚を覚えました。
年末年始と好天が続き、初日の出も拝めた2025年ではありますが、この日は珍しく一日雨に見舞われた日。しかし、幸運なことに、丁度、拝観のタイミングだけ雨が上がり、美しい景色を楽しむことができました。訪れた晴れ男と晴れ女の功績かもせれません。
こちらは年中無休で拝観可能で、SNSの配信等を許されており、自由に写真撮影を楽しむことができます。どの季節に訪れても自然の美しさを感じられる場所で、特に春は桜が咲き誇り、秋は紅葉が彩りを添えることで知られています。
9,000坪もの広大な境内の参道を抜けると、本堂手前に広がる枯山水庭園「無量寿庭」に出逢えます。この庭園は、作庭家の北山安夫氏による作品で、仏教の極楽浄土をテーマに設計されています。白砂に描かれた繊細な砂紋や、計算し尽くされた岩の配置が印象的で、どこを見ても無駄がなく、静けさと神聖さが漂っています。
本堂
龍雲寺は、特に拝観料を徴収されていませんが、必ず本堂で御本尊にお参りする事から始めましょう。
本堂側から伺える庭園をじっくりと拝観することで、さらに深い感動を味わうことができます。砂紋に描かれた模様は毎日整えられており、その職人技に感動を覚えることでしょう。
無量寿庭を後にして本堂へと進むと、そこには約千年前に制作されたとされる阿弥陀如来坐像が安置され、この坐像は静岡県指定文化財に指定されています。仏像の細部に至るまで精緻に彫られており、長い年月を経てもその存在感は色褪せることなく、訪れる人々を魅了しています。特に、仏像の両目が放つ温かさには自然と手を合わせる気持ちになり、その場にいるだけで心が浄化されるような感覚を味わえることでしょう。
新年になって初めて神様や仏様に感謝の気持ちを伝え新年の祈願をする初詣。
近隣に住まう者として、旧年の感謝を捧げ、新年の無事や平安を祈願して参りました。
本堂での参拝を終え裏手に回ると、目の前に池泉回遊式庭園の「清浄庭」が広がります。
無量寿庭の枯山水とは異なり、この庭園では滝や池など水の要素が取り入れられており、また違った趣を楽しむことができます。
高さ約15mもの「無位の滝」が中央に流れ、滝から流れ落ちる水が作り出す音は、心地よいリズムを刻み、聴いているだけで心が癒されます。庭園内の遊歩道は、春の桜に夏の新緑、秋の紅葉に冬景色と、季節毎の魅力が満載のお庭。
滝の下に広がる池には色鮮やかな鯉が泳ぎ、その姿が水面に映る様子はまるで一枚の絵画のよう。
手をかざすと近くに寄って来てくれ、鯉の餌も設置されているため、ふっくらとふくよかな鯉たちに出逢えます。
松鶴の金屏風
庭園を十分に堪能した後に「地獄極楽図」が展示されている特別展示室へ歩みを進めます。
この絵巻物は、仏教の教えを視覚的に表現した貴重な作品です。
極楽の部分には、美しい花々や穏やかな仏たちの姿が描かれており、見るだけで心が癒される一方で、地獄の部分には、苦しむ魂や炎がリアルに描かれ、その戒めのメッセージは非常に強いものを感じ取ることができます。一枚一枚に込められた絵巻を観ていると、仏教が伝えようとする生き方への教訓を改めて考えさせられるのです。
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