庭園と外観見学で500円、建物内部を見学するとさらに500円、という料金に、正直なところ「地方の豪家を見るだけなのに、高いんじゃないの」と躊躇したのだが、その値打ちはあった。
江戸初期の17世紀中盤に、当地の名主高梨兵左衛門が醤油を、すぐ後に茂木(もぎ)七左衛門が味噌・醤油を製造し始め、もともと対立関係はなかったのか、のちに(明治期の野田醤油醸造組合などを経て)キッコーマン醤油として合流する。
醸造業といえば、各地の酒蔵が名家で富裕であったように、高梨家も茂木家も広大な敷地の邸宅を残している。この歴史館は高梨家が平成6年まで実際に住まっていた旧宅である。江戸期に建てられた部分も残るが、大部分は昭和初期に改築・増築されたもののようだ。
整備の行き届いた庭園を愛でるのもよいけれど、やはり建物の内部に入って、案内の方とともにじっくり見て回らないと勿体ない。純粋に和風かと思うと西洋建築も取り入れられていたり、邸内からの庭の眺めの行き届いた計算、各所に趣向を凝らした造りに、茂木家の富とセンスを実感する。 興味深いものはいろいろあるが、当方が驚いたのは大きな蔵。火災が迫ってきたときには屋根瓦を落とし、ついで木製の屋根自体も滑らせて落とし、蔵の垂直面に貼り付けた木材の壁も剥がし落として、要は不燃性の白い漆喰部分だけが露出する状態にして延焼を防ぐ構造になっている。そんなの初めて見た。 また、歴史館として公開する際に設けられた展示館も充実しており、腰を据えて見れば、醤油づくりについてかなり深い知識を得ることができる。
ともあれ、これだけの施設を維持管理していくには、このくらいの料金じゃむしろ足らないよね、と納得した。 当方が訪れたときは週末ながら空いており、飛び込みでも建物内部の見学ができたが、人の手配もあるのか本来は予約制となっているので、事前に問い合わせたほうが安心だろう。 もしあなたが少しでも建築や近世の地方史・経済史にご興味があるの...
Read more野田市駅から徒歩20分くらいで到着する。茨城急行のバスなら香取神社バス停下車ですぐ(土日は便数が少ない)。車なら駐車場も大きく便利だ。
信州からこちらに移住し、江戸期は名主、途中で醤油の醸造を始め、キッコーマン創業家の一つであった高梨家の住宅だ。庭園は国の名勝として登録されており、まるで京都のお屋敷のような佇まい。
一人500円で庭園を巡れるが、事前に電話予約をすれば、1000円で数寄屋造と書院造の建物内を案内付きで巡ることができる(金土日、1日3回)。
とにかく館内が素敵過ぎる。昭和初期に造られた数寄屋造の建物内には、贅を極めた洋間•書斎やビリヤード場(リビング)がある。奥の江戸期に建てられた書院、棟続きの茶室など、見どころ豊富だ。ただし、非常に大切に維持・管理されているので、小さな子供や騒ぐような大人は諦めるべきだ。破損したら二度と戻せないものもあるので、参観時には十分に注意したい(建物内の撮影は厳禁)。
時期毎に調度品が変わる。特に6月には庭向きの障子が夏障子・御簾変えられて、室内からの庭の景色が一段と良くなるとのこと。公開期間中には...
Read moreキッコーマン創業家のひとつ、髙梨家の居宅・庭園を一般公開している施設です。昭和時代の庭園としては、日本で初めて名勝に指定。節句の前後には、四季折々の調度品や美術工芸品の展示もあり、その季節ごとに楽しむことができるようです。
数十年前までは、実際に居宅として使用されていた建物で、江戸期から続く書院造の家屋を含め、生活の息づかいを感じることのできる場所でした。
ガイドのかたに、住宅のつくりや庭園を案内していただきながら見てまわる内覧コースもありましたので、少しお時間を取れるときには、ぜひ利用されてみてはどうでしょうか。(通常期は金・土。節句期は水〜日。原則、事前予約。最後のお茶を含めて1時間くらい。)内覧の最後には、お茶菓子をいただきながらお庭をみて、贅沢な時間をすごさせていただきました。
野田は、伝統的に節句の時期が1ヶ月後で、桃の節句は4月3日、端午の節句は6月5日といったように時期が少しずれているようですね。醤油の醸造との関係があるのではないかと言われているようです。節句飾りを目当てに訪れる際は...
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