８月９日に投下された原子爆弾の第一目標は、 実はここ小倉でした。 陸軍造幣廠（兵器工場）もあった軍都で、人口も多い重要都市であったためです。 加えて、空襲による被害を受けていませんでした（原子爆弾が及ぼす被害のデータが十分得られることが条件だったのでしょう）。

しかし、濃いモヤ（前日の八幡空襲による煙←他の指令系統と連携が取れておらず、8/9の小倉原爆投下が伝わっていなかったとか）のため、小倉上空を50分にわたり旋回。 ３度投下機会を窺ったものの、目標を確認することができなかったことから、第二目標の長崎に向かいました。

ここから先が 私も全く知らなかったことなのですが、 実は長崎でも同じような事態が生じ、雲の切れ間を見つけることができなかったそうです。

サイパンやテニアン島から飛び発っていたB-29の編隊は、燃料を心配しなければならない状況でもあったそうで、強行して投下するか、爆弾を海洋に投棄するかの判断を司令部に仰いだそうです。 結末は皆さんも御存知のように・・・ 見切りの状況での原爆投下だったんですね。

ちなみに長崎は当初リストには入っていませんでしたが、最終段階で投下目標都市に入っています。 （他には、横浜・京都・新潟など）

このようにいろいろな偶然・刻々と変化した事情・状況によって、多くの人々の生死が決まってしまいました。 そんな些末なことで、多くの人の命が翻弄されたのです。 それが戦争なのだと強く感じました。

ミュージアムでは八幡空襲のことも知ることができます。 原爆に比べると、知る人も少ないですが、 やはり八幡でも筆舌に尽くしがたい惨禍が起きていたようです。 犠牲となった方の数の多寡や、事の大小では有りませんね。

映像資料で、当時を知る方が戦争について語っていました。

相手のことを思いやる優しい心があれば、 戦争なんて起きる筈が無いのに。

本当にその通りだと思いました。