西ヶ原一里塚は、江戸の日本橋から日光まで続く「日光御成道(※)」の二里目の一里塚で、徳川時代に設置されたままの旧位置を留めており、都内では大変貴重なものです。大正時代に道路改修工事にともない撤去されそうになりましたが、実業家の渋沢栄一(*2)等を中心とする地元住民の運動によって塚の保存に成功しました。大正11年3月8日には、国史跡に指定されています。
一里塚は、慶長九(1604)年に江戸幕府が全国の主要街道に、一里(およそ3.9キロメートル)ごとに道の両側に塚を築かせ、その上に、主に榎(エノキ)の木を植えさせました。街道を旅する旅人にとって一里塚は、旅の長い道のりの目安となり、駕籠賃の目安にもなりました。木の木陰は、旅する人々の憩いの場所にもなったことでしょう。 西ヶ原一里塚の上にも榎の木が植えられていますが、江戸時代のものは残念ながら枯れてしまい、新たな榎の木が植えられて現在に至っています。 ところで、日光御成道(※)の一里目の一里塚は、中山道との分岐点である「本郷追分」で現在の東京都文京区に、三里目の「稲付一里塚」は東京都北区赤羽西2丁目にありました。「稲付一里塚」は明治中頃まではその跡があり、村の掲示場として官有地だったようですが、明治21年に隣地の所有者に払下げられ現在は残っていません。
※にっこうおなりみち 徳川家康を祀った日光東照宮に、将軍が参詣するための街道。江戸日本橋を起点に、本郷追分で中山道とわかれ、岩淵宿、川口宿、鳩ヶ谷宿、大門宿、岩槻宿を経て、幸手宿の南方で五街道の一つ日光道中と合流するまでの、5宿12里(約47キロ)の道のりをいう。また、江戸-岩槻間は、岩槻藩の参勤交代の順路となっていることから岩槻街道とも呼ばれていた。現在では、本郷通りと呼ばれる東京都千代田区の神田橋から、東京都北区王子にある飛鳥山公園前で明治通りに交差するまでの区間が...
Read more国指定史跡(大正十一年三月八日指定) 西ヶ原一里塚
慶長九年(一六〇四)二月、江戸幕府は、江戸日本橋を基点として全国の主要街道に一里塚を築き、街道の道程を示す目安とすることを命じました。 西ヶ原一里塚は、本郷追分の次の一里塚で、日本橋から数えると日光御成道の二番目の一里塚にあたります。 都内の日光御成道は現在の本郷通りが主要なルートにあたりますが、岩淵宿から船で川口宿に渡ると鳩ヶ谷・大門・岩槻の各宿場を北上して幸手宿で日光街道に合流しました。 将軍が日光東照宮に社参する際の専用街道として使用されたので、この名称が定着しましたが、岩槻藩主の参勤交代や藩の公用通行路に使われたので岩槻街道とも称されました。 旧道をはさんで一対の塚が現存していますが、これは旧位置に保存されている都内の一里塚として貴重な文化財です。 車道の中に位置する方の塚には「二本榎保存之碑」と題される大正五年六月の記念碑があります。 西ヶ原一里塚は当時、東京市電の軌道延長路線上に位置したため、この工事に伴う道路改修工事で撤去されそうになりました。 碑には、こうした経緯と、渋沢栄一や東京市長・滝野川町長を中心とする地元住民の運動によって保存に成功したことが刻まれています。 西ヶ原一里塚は、大正時代に文化人と住民が一体となって文化財の保存に成功した例としても記念碑的な意義をもつものといえます。 【現地案内板より抜粋】
七社神社入口、滝野川警察署隣に位置します。 案内板が無ければ、ただの盛り土...
Read more国道17号(中山道)の板橋区志村というところに一里塚の表示があるが、そちらは「そこに一里塚があった」というだけで実物は無いんですよね。関東では神奈川県に当時のままの一里塚が残っているそうですけど、こちらの一里塚も原型を留めているようですね。一里塚は、1里という長さを知らしめるのが目的だったそうで、日本に度量法(尺貫法)が中国から伝わった時の1里は300メートルほどだったそうですが、その後に長さが伸びていったらしい。この長さは長過ぎるため、当時の庶民には無用なものだったんですって。徳川家康は、9メートル四方の土の塚に松や欅といった木を植えさせ一つの目印として以外に、街道といっても茶店すらなかった時代だから、雨よけや休憩のために設けたらしい。学校などでは1里は約4キロだと教えていましたが、街道に築かれた一里塚は最初はきちんと1里の長さで築かれたそうですが、すべての街道を幕府が整備したわけではありません。他の大名がそれに倣って街道を整備したが、一里塚の間隔はバラバラだったそうです。一番長いのは伊勢神宮あたりの道で、1里は7キロになっていたそうだ。山間部になると1里は2キロとか3キロになっていたそうで、これは単純に半刻(はんとき又は、はんこくと読む)で歩く距離の目安にしたらしい。ー江戸時代の時間表示は、和時計によるもので、和時計は1日を12で区切ったので一刻は約2時間となる。半刻はその半...
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