【平成31年1月5日訪問】 天候：曇 気温：5℃ 湿度：100％

開店時間は11:00ですが、10:50頃到着。既に二組が待たれていました。なお開店時間に店は開かず、約10分程度追加で待たされました。準備云々を言うよりもまず客を店内に招き入れるような配慮が必要。

この店では、店のウェブサイトを見る限り「滋賀県伊吹山産」、「福井県丸岡産」、「福井県越前産」の３種のブレンドで、自家製粉をウリにされています。恐らく基本的に「３立て」提供かと思われます。また蕎麦つゆについては「関東風」「関西風」の２種から選べます。両者の食べ比べに興味が湧くところです。

席に着き、せいろそば(関東風)、せいろそば(関西風)、辛味大根そばの３品をオーダー。順に食していきます。なお、蕎麦切りについて今回は大盛りではなく、せいろ２人分を注文しました。単品では蕎麦つゆ２種は対応不可らしく、１人前ずつなら両方出せる、とのことでしたので…

《せいろそば》 ●蕎麦切り ３種ブレンド蕎麦については賛否両論あるかと思いますが、個人的にはブレンド蕎麦はあまり好きではありません。各産地の個性がブレンドされることによってボヤけてしまうからです。但しスコッチウイスキーのように、シングルモルトが単純かつ大胆な味わいであることと同様、ブレンデッドはブレンデッドならではの良さがあります。そのような観点で言えば、この蕎麦切り、通常一般的な蕎麦風味があまり感じられない反面、仄かに独特の蕎麦の風味が別に存在しているような印象を受けました。仄かなんですが、生姜の砂糖漬の香りがしたような気がします。初めての感覚で、「お！」という気持ちになりました。 コシ、弾力は概ね申し分なく、と言うより程よく柔らかさが残され、もっちり感を多分に感じさせるものでありながらスルスルっとした喉越しにも優れています。 この店の蕎麦切りには、とにかく強い個性を感じます。

●蕎麦つゆ(関西風) 甘口にある関西風から先に口にしました。関東風と比較する前から十分にわかるその「甘さ」。その甘さが多少誇張されたかのように甘さを感じます。甘辛偏差値43と言った印象です。出汁風味が強く、鰹の香りが強く立ち込めていました。甘さのキモは味醂によるものと思われますが、食事の最後の方はこの味醂の甘さが結構クドさとして残ります。

●蕎麦つゆ(関東風) 次に関東風を。 こちらは濃厚な醤油風味。出汁の鰹の香りも十分感じられますが、鰹の香りだけ言えば、香り方は関西風の方が強かったです。また塩梅については甘辛偏差値52と言った印象で、確かに関西で一般的によく遭遇する辛口の味ですが、それでも多少の甘さは感じてしまいます。 但し、個人的嗜好の比較論で言えば、やはりこちらの蕎麦つゆの方が口に合います。

●薬味 葱と山葵の２種。葱は香りが強く、刻まれた葱の一片を口にするだけで一瞬にして鼻腔に葱の香りが立ち込めます。山葵も香りが高く、微量でもツンとした風味が鼻から抜けていきます。

●蕎麦湯 半透明ややサラサラタイプの蕎麦湯です。蕎麦の香りがやや強く残っています。関西風、関東風の蕎麦つゆ両方によくマッチしていました。しかし個人的嗜好では、やはり関東風蕎麦つゆと合わせた方が喉越しよく味わえました。

《辛味大根蕎麦》 ●蕎麦切り・薬味・蕎麦つゆ(関西風)※関東風も選択可能 せいろ蕎麦と同様。 ●薬味(辛味大根) 伊吹大根を使用。想像以上に辛くなく、食べやすい辛み、と言った具合です。大根の風味はやや弱く、仄かに香っていました。今回は「辛味大根」蕎麦だったのでバランスを考慮して蕎麦つゆを関西風にしてみましたが、結果的には大根おろしが想像以上に辛くなかったので、蕎麦つゆは関東風の方がマッチしたかもしれません。