中学時代にシラドンという奴がいた。 シラドンはどちらかというと無口でクラスでも目立たない存在であったがごく一部の男子達から風間トオルと呼ばれていた。 そういうと無口でクールなイケメンを想像するかもしれないが、風間トオルと呼ばれる前はモアイと呼ばれていたので彼の容姿についてはお察しください… 何故イースター島のモアイ像が風間トオルにメタモルフォーゼしたかというと、シラドンが床屋で「風間トオルみたいな髪型にして下さい」と頼んだら床屋のオヤジが「頭がデカいから出来ねーよ!」と言われたという噂があったからだ。 しかしシラドンはこの噂を否定も肯定もしておらず真相は不明なのだが、本当だとしてもシラドンがそんな自虐ネタを周りに話すとは思えない。
ある日そんなシラドンが休み時間にスクールカースト上位の女子達と談笑をしていて私は違和感を覚えた。 授業中に隣の席のスクールカースト上位の女子にそれとなく聞いてみたら、シラドンは渡辺美里や大江千里などのスクールカースト上位女子が好きなCDをたくさん所持しているからその話で盛り上がっていたらしい。 なのでそれ以来私は聴いてみたいが自分で買いたくはないCDはシラドンに借りる事にした。 例えば松岡英明とかその辺… だんだんとシラドンと仲良くなってきた頃、彼は突然「爆風スランプの大きなタマネギの下ではロックに対する冒涜だ!」と言い出したので私は(あぁコイツは信頼出来る奴だな)と確信した。
中学3年の夏休みが始まる前にシラドンが長良川花火大会で屋台のバイトをしないかと誘ってきた。 聞けばシラドンのお姉さんはテキヤと付き合いがあるらしく、1日一万円という当時の中学生にとっては大金のバイト代が出るという事であった。 勿論、私はその話に飛びついたが、いつも口癖の様に金がねぇと言っているアダッチョも誘ったら「そんなんやるより花火の次の日の早朝に堤防に行けば金がいっぱい落ちてるらしいから俺はそっちに賭けるぜ!」と豪語していた。 夏休み明けにアダッチョに「金落ちてたか?」と聞いたら「朝5時に早起きして行ったんだけど、けっこうみんな拾いに来てて結局1円も落ちて無いどころか知らないおっさんにゴミ拾い手伝えって言われてボランティアしただけだよ!早起きは三文の得って嘘だな!」と憤慨していたが私は世の中にはアダッチョと同じ事を考えている奴がたくさんいる事に驚きを禁じ得なかった。
花火大会当日、シラドンは「姉貴が苦手だから俺は行かない」と言って来なかった。 代わりに割と真面目なヒロキが来ていて意外であった。 屋台はアニメキャラのビニール風船を販売するものであったが、私は暗算が苦手なので販売はヒロキに任せ、もっぱら風船を膨らます係りに専念する事にした。 志賀勝みたいなおじさんがコンプレッサーの使い方などをレクチャーしてくれ、当時社会現象になっていた『ちびまる子ちゃん』の風船が一番売れるから多めに作るように指示された。 そこで私は始めて売れ筋を把握して在庫を多く持つという小売業の原則に触れた気がする。 しかし志賀勝は説明している間中『ちびまる子ちゃん』をちゃん付けで言うのが恥ずかしいのかずっと【ちびまる】と言っていてちょっと可愛かった。
翌年もシラドンから屋台のバイトに誘われたので参加したが、今回はジュースやビールを販売する為、準備があるから2時頃来るように言われた。 今回は志賀勝はおらず、代わりにストレイキャッツのブライアン・セッツァーとブランキー・ジェット・シティの浅井健一のスケールを小さくしたような兄さんが仕切っていた。 とりあえず準備がすんで、今年も参加したヒロキと一緒に堤防の階段に座って休んでいたら、少し離れた所でくつろいでいた兄さん達の話し声が聞こえてきた。 「あれ、銃で撃たれたけどどうなったんや」 と話していたので(やっぱり怖い人達なんだ!)とビビりつつも興味があったので聞き耳を立てていたら… 吉田...
Read moreI like the trail. I often go here for practice runs and races. The entire trail, to and fro is...
Read moreThe monument standing there in silence exudes a sense of melancholy. And living here brings...
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