国道11号線（アジアハイウェイ）と国道107号線が交わる、クワンシン交差点の角にある寺院です。 この寺院の隣（北西側）には、クワン・シン（ข่วงสิงห์ ）と呼ばれる獅子の像を祀る祠があります。このことから、この寺院および周辺地域は「クワンシン」と呼ばれています。 この獅子の像は、復興ラーンナー王朝のカーウィラ大王が1801年につくらせたものです。チェンマイ都を守護する獅子の精霊が宿る像としてつくられ、都市域の北側の進入路に当たる場所に安置されました。２頭のうち1頭は北を向き、もう1頭は東を向いています。 都市域の入口に獅子の像を祀るのは、ミャンマーの宗教文化に由来するとも言われています。 国道107号線をチャーンプアック門方向に南下すると、途中に、２頭の白象の像を祀る祠があります。「チャーンプアックの祠」と呼ばれています。この白象もチェンマイ都の守護精霊です。 「クワン・シン」の「クワン（ข่วง）」とは「広場」を意味します。かつてここには閲兵場として利用されていた広場があったそうです。 「シン（สิงห์ ）」は「獅子」を意味します。 「クワン・シン」で「獅子の広場」という意味になります。チェンマイの守護精霊である獅子の像が祀られている広場ということです。この広場は、「クワンシン・チャイモンコン（วัดข่วงสิงห์ชัยมงคล）」とも呼ばれていたとのことです。閲兵場の広場であったので、兵士たちの武運長久を祈り、「勝利の吉祥」を意味する「チャイモンコン」という言葉が添えられたのでしょう。 ワット・クワンシンは、カーウィラ大王の時代に建立されたと言います。1804年のことであるというので、獅子の像が祀られた時期と同じ頃になります。その後、インタウィチャヤーノン王の時代の1874年に改修されています。 ところで、クワンシン交差点から400ｍほど西側にある、国道11号線の中央分離帯の中に寺院の遺構があります。これは「旧ワット・クワンシンのウボーソット（อุโบสถเก่าวัดข่วงสิงห์）であると言います。 実はここが、もともとのワット・クワンシンが建っていた場所でした。国道11号線の工事が始まった時に、この寺院が国道のルート計画上にあったため、1965年に寺院は解体されて現在の場所に移転されたのでした。時間に余裕があれば、こちらの遺構にもお立ち寄りください。ただし、交通量の多い国道の中央分離帯ですので、事故に遭わないように注意して道を渡って下さい。 1993年にタイ政府芸術局がこのウボーソットの遺構を発掘調査したところ、文字が書かれた砂岩の断片が4つ発見されたそうです。どのようなものであったのか私は知りませんが、貴重なものだったようで、これらはチェンマイ国立博物館に保管されることになったそうです。また、ウボーソットの遺構のある場所は保存されることになりました。 もしかすると、ワット・クワンシンが建立される以前に、この場所に古い時代のお寺があったのかもしれませんね。