立地としては鎌倉の観光スポットから外れてはいるが、車で来るなら大仏と藤沢を結ぶ比較的ちょうどいい通り道にある。このロケーションなら落ち着いて食事ができる場所としてよい。実は以前ここにはチェーン展開の珈琲店があったが、鰻屋になってみると滞在時間など客側の条件も変化する。そのことに気づかせてもらったのもいい発見であった。 店内は照明を暗めに設定。基本的に心穏やかに鰻と向き合うことができることは嬉しい。鰻の味に集中できるのである。 さて肝心の鰻だが、私は白焼きを頂いた。白焼きは蒲焼と比べてごまかしのきかない調理法なのは言うまでもない。蒲焼に飽きて白焼きを選ぶようになって結構経つが、大黒屋の白焼きは大抵の白焼きにありがちな鰻本体の微かな臭みを感じない。この一事だけでも相当信頼のおけるお店だと思った次第。山椒の香りや山葵のおろし方など微細な部分まで配慮が行き届いているのも好印象だ。 その他接客に関しては普通〜無難といったところ。これは一度二度の来店では測れないのでそうなる。価格については鰻は現在では高級食材となっているのでおのおのので高い安いと判断されればよいと思われる。少なくとも私には不満はなかった。