実はここの見どころは二階です。その奥です。国の重文の狛犬一対。はいそれもいいですね。でもその隣ですよ。 私の大好きな藤原期の掌サイズの木彫仏ですよ。しかも5体。如来如来如来、菩薩に天。どうやら当時の本地仏らしい。六所明神なのに何で5体なんだ？　ひとつは朽ちてしまったか。どの神様がどちらさんに宛てられたのだろう。これを想像するのはワクワクするな。如来は3体あるから難しいね、まずは菩薩と天から手がけるべき、特に天でしょうな。六所のうち誰が最も「荒ぶる」か、ですよ。アタシはねぇ、オーっと軽々に言挙げしちゃいけないや。菱沼正さんの『武蔵の古社』辺りを読み込んでみて下さい。 神社の木彫仏は、虫損が多くて表情も定かならないのが多いけれど、ここのはいずれもよく保たれている。大事にされていたのかな。しかも地方作にありがちな微笑ましい誤訳もなくて粒揃いなのが見事。これら5体とも重要美術品なんだそうだけと、早く現行法で文化財指定して保存処理した方がいいと思う(まだ余裕アリです。でもそういう状態のうちに！)。 私が訪れた時、展示ケースの中に人がいたのには驚いた。いく振もある刀の手入れをしていたのだ。刀の手入れなんて初めてみたよ。 幼いころ近衛十四郎の時代劇に凝って、浅草辺りで買ってもらったオモチャに、母に頼んで作ってもらった手入れ道具で真似事をしたのを思い出した(割り箸の先に脱脂綿を括りつけて、天花粉❗だったかをポンポンポンと打ち付けたのだ)。 ホンモノの手入れ、これも本当に打ち粉をポンポンポンとやって拭うのね。思わぬ収穫でしたわ。 いやぁお腹いっぱいですわ。 1階は現役の神輿や太鼓がズラリ。何しろ六所明神ですからそりゃ壮観ですよ。アタシには領域外ですけど。 宝物殿を出ると目の前参道を挟んで袴腰の鐘楼が。いや神社だから鼓楼だけど。建築的には優れたというぼどでもなかろうけど、関東では珍しいなぁ袴腰。写真、上げます。鼓楼の向こうの、こんにちの参集殿もやや古げて趣深い。 昔はこの宝物殿の辺りに三重塔が建っていたそうだ。往時を想像するとバカに楽しい。 それから忘れちゃならないのが宝物殿前両脇の石の手すりらしきもの。これ石鳥居のパーツですぜ。