名古屋に配属されてから半月が経った。 知らない場所で、知らない人と、知らないことを勉強するのにも、だんだんと心が疲れてきたところだった。 遠距離だからと言って彼女と別れたのは1ヶ月ほど前の話である。 別に彼女に対して未練はない。 地元の友人とももう暫くは会えていない。 研修で地元を離れたのはもう3ヶ月も前だ。 家と職場を往復するだけの日々。 あれ?友達っていたっけ?自分って誰だっけ? そんなことを考えるようになっていた。 「つまらないな」と溜息をついた、そんな土曜日である。 気分を晴らしたいが、学生の時みたいに、「休日だから誰かを誘って遊びに行く」なんてことはできない。 名古屋に友人なんていないのだ。 かと言って、休日まで勉強するなんてごめんだ。 引っ越したばかりで家には机も椅子もベッドも無い。 木造の賃貸は隣人の物音が煩くて落ち着かない。 街に出ても人が多くて入れる店なんてない。 というかあまり名古屋の店に詳しくない。 あての無い日々を過ごしているうちに、生きている気がしなくなってきていた。
そんな私が、ふらっと立ち寄ったラーメン屋さんがここだった。 路地を少し入ったところにある、半隠れ家的なラーメン屋さんだ。 私が訪れたのは、ピークタイムを少し過ぎた頃だ。 店内には私の他に2人の男性のお客さんが居た。 内装には無駄な物が無く、木の机がとても落ち着く。 券売機で食券を買おうとした時に見つけたのが、「辛豚濃厚煮干ラーメン」である。 この時の私は、刺激を求めていた。 物理的な痛みを通して、生きている実感が欲しかったのだ。 迷わず私はこの「辛豚濃厚煮干ラーメン」を購入し、席についた。 気の良い女性の店員さんが食券を受け取りに来てくださったので、ラーメンが出来上がるまで、窓の外を眺めながら待つことにした。 ここ最近では久しぶりの晴れた一日だった。 目の前の建物の白い壁面に反射した太陽の光が、優しく店内を照らしていた。 とても居心地のいい空間だった。 ラーメンが出来上がるのに、それほど時間はかからなかった。 先程の気の良い女性の店員さんが、ラーメンを運んで来てくれた。 ついに待ち望んだラーメンとご対面。 第一印象は「思ったより赤い。」だった。 「辛豚」とは一体どんなものか、顔を合わせるまでは想像もつかなかったが、「辛い豚挽肉を載せた濃厚煮干しラーメン」ということらしい。 豚挽肉とラー油がインパクトのある見た目だ。 さてどんなお味だろうか。 私はラーメンをすする一瞬において、普段では感じられない高揚感を実感するのだ。 しかも今日は「辛豚」である。 さあ、今日は私を存分に痛みつけてくれ。 痛みこそが生きている実感なのだから。 私はラーメンをひと啜りした。
気づくと私はラーメンを食べ終えていた。 そして私は泣いていた。 自分の目から涙が溢れて止まらないのだ。 このラーメンは、今まで食べたどのラーメンよりも優しい味がした。 味が薄いという意味ではない。家庭の味がするという意味でもない。 小麦の甘味と煮干しの濃厚なコクが、暖かく抱擁してくれるかのような、思わず「ただいま」と言ってしまうかのような、そんな味がしたのだ。 「辛豚」は私を濃厚な煮干しの海へ引き摺り込む為の釣り餌だった。 私は今まで、痛みでしか生きていることを実感できないと思い込んでいた。 だがこのラーメンは辛いどころか、とても優しいのだ。 それなのに、私はこの時、ここ最近で最も「生きている」ことを実感したのである。 ずっとそばに居たような、それでいて今まで気付かなかった何かに、ようやく気付くことができたような感覚だ。
ご馳走様でした。このラーメンを食べてから、私も名古屋でもう少し頑張ってみようと思うようになりました。私が何を言っているのかさっぱり判らないかもしれませんが、言語化できる感情には限界が有ります。ラーメンを食べればきっと貴方にも伝わる筈。さあ、ラーメン...
Read more平日お昼に利用しました ネットで情報を下調べしていたら色々なラーメンを取り扱っている内容でしたが 今現在はメニューは少なく絞っているようでした 煮干しを使ったメニューでしたので個人的にはとてもいいお店でした
通りから奥まったところに飲食店が集まってるエリアにあります 表に立て看板があるので目印になると思います
お店は2階、行列や待たれている方はいませんでした 店内入りますと券売機があります この日はお店の方がメニューの説明をしてくださいました 大好きなつけ麺をチョイス お値段はそれなりですね ランチタイムは白ご飯、高菜漬けがサービスされているようです
つけ麺は見た目にきれいで期待が増します 麺は太すぎず個人的によく使う表現ですが稲庭うどんのような少し幅のある麺です しっかり麺の味がしました つけ汁は煮干しがしっかり効いた、でもくせのない感じ...
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しばらく前に情報番組で見ていた食べるテラスsakae。 行こう行こうと思いながらすっかり忘れていたんですが、ランチを探していて久しぶりに思い出しやってきました。
入店すると先客は3組。 忙しくない客数だと思いますが、スタッフが2名しかいないからなのか、終始バタバタしています。
食券で看板らしき煮干しラーメンの大盛りと、トッピング特盛をポチり。
煮干しラーメンはかなりドロドロしていて、まるで天一のよう。 一口飲むと、半田の老翁亭のスープを思い出しました。 ただ、あそこまで節感はないんですが、かと言ってクリアなスープではなく強烈な煮干し。
麺は細く、スープをガッツリ持ち上げてくれる麺。
トッピング特盛は甘く味付けされた豚バラ肉がたくさん。 ランチタイムなのでご飯が無料でしたが、これに合わせて食べるといいかも。
意外だったのは卓上のワサビがすごく合うこと。 ドロドロの濃いスープにワサビを少し入れるだけで、とても爽やかなスープに変わること。 壁に貼ってあったのは、残ったスープにご飯とワサビを入れて…、とありましたが、麺がある状態からでもワサビを入れて食べてもグッドです。
ランチタイムならコスパもいいので、お...
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