【異郷の記憶を翻訳する、藤沢の物語】 窓の外を、江ノ電がゆっくりと横切っていく。見慣れた藤沢の日常風景。しかし目の前の皿に置かれた一品は、その穏やかな空気に静かな問いを投げかける。北イタリアの牛肉の生ハム「ブレザオラ」。その凝縮された赤身の旨味とハーブの香りは、食べる者を一瞬にしてシェフの記憶の原風景、アルプスの麓のヴァルテッリーナ地方へと誘う。異郷の食文化を、この日本の土地でいかに語り直すかという、ひとりの料理人の静かな挑戦がある。
【蕎麦切りと蕎麦粉と北イタリア】 物語の核心は、シェフが彼の地で出会った蕎麦粉のパスタ、ピッツォッケリにある。山岳地帯の素朴で力強い郷土料理。その魂を日本で表現しようとする時、それは「日本のそば文化」が翻訳の壁として立ちはだかる。シェフの挑戦は、この文化的断絶を、自ら橋渡しすることにあったのではなかろうか。その覚悟は「蕎麦粉食堂」という実直な名前に宿っているように思えた。
【ニョッキなのに知ってるニョッキではない】 その挑戦のひとつの到達点が皿の上のニョッキに結晶していた。グルテンを持たない蕎麦粉はつなぎあわせるだけでも至難の業だ。しかし、口に含んだ瞬間に訪れるのは驚きに満ちた調和。もっちりとしたジャガイモの甘みの中から、蕎麦粉特有のざらりとした舌触りと野趣あふれる香りが、力強く立ち上ってくる。それは困難な素材を手懐け、イタリア料理の文脈で見事に再創造した職人技の静かな証明に他ならない。
【北イタリアから湘南へ】 シェフの「翻訳」作業は、厨房の中だけで完結しない。藤沢産みやじ豚の滋味、鎌倉野菜の生命力。この土地の食材と対話し、その声を料理に反映させることで、ヴァルテッリーナの記憶は、鎌倉・藤沢というテロワールに深く根ざしていく。シェフが選び抜いた一杯のワインは、その土地と記憶の結びつきを祝福するように、料理の物語を完成させる最後のワンピースとなった。
かつて北イタリアの家庭で食べられていた素朴な味が、ひとりの料理人の情熱と探求を経て、江ノ電走るこの街で、新しいローカルの滋味と出会い名物料理として生まれ変わった。食堂に満ちるのは、食文化の越境が生んだ温かくも新しい感動である。ここは、遠い異郷の物語が、私たちのため...
Read moreThis place has some really great wines and fabulous food. One of my favorite dishes is the homemade sausage and vegetable with buckwheat pasta. My wife loves the green salad with house dressing. The owner is very hospitable and is a great...
Read more“蕎麦粉を使ったパスタ”に惹かれてランチタイムに入店。お客さんはたくさん入っていて、人気のお店なんだなとすぐにわかった。
アラビアータとカルボナーラを注文。サラダ、スープ、フォカッチャ、ドリンクも付いて1,200円〜1400円。
サラダは新鮮でドレッシングも美味しい。前菜を見ただけで「とてもこだわっていて、本格的なお店だなぁ」と感じた。
アラビアータは、トマトの酸味と唐辛子のスパイシーさが心地いい。蕎麦粉の麺は歯切れが良く、普通のパスタとは違う”のどごし”というか”ツルツル感”があった。
カルボナーラはチーズが超濃厚。クリーミーなソースが蕎麦によく絡む。
ここ最近で食べたパスタ料理の中で一番美味しかった。アラビアータもカルボナーラも、味がめちゃくちゃ美味い。「家の近くにあったら良いのに」と思うくらい。
気になった点としては、終始店員さんが忙しくしていて、お客さんへのケアが少し足りないかなと感じた。足りないというか忙しくて手が回っていない印象。メニューを見せてもらうまでに時間がかかったり、コーヒーのシロップを頼んだら忘れられてしまったり。新人さんらしき人がいたので、まだ慣れていないのかなと。
また、厨房とホールを隔てるスイングドアが、スタッフが通過する度にガンガン音を立てる。近い席に座ると音が気になって仕方ない。バネの力が強すぎるのか分からないが、あれはスタッフも使いにくそうだった。
味は間違いなく美味しいので、時間に余裕を持って行くことをオススメする。前菜が付いてこの値段なら...
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