施設が古く、座席の狭さや楽屋の使い勝手に難こそあれど、音響は日本有数。 残響は控え目なものの、音の伝達が素早く、そして柔らかく響く。 演奏家が何をしているのか、どのような音を持っているのかがよく分かる。
古楽や小編成の場合、みなとみらいの小ホールを利用する場合が多いが、絶対にこちらを使った方が良い。 箱が小さくても、舞台の上だけで音が漂っているだけのホールより、最後列まで音を柔らかく届けてくれるホールの方が良いに決まっている。
設備といえば、ピアノやチェンバロが良くない。 館長等は素人なので仕方ないのかもしれないが、舞台袖のフルコンは酷かった。 落成当初は素晴らしいスタインウェイがあったそうだが、どんどん品質の劣る新品に買い替えてしまっているようだ。 また、チェンバロは確かフォンナーゲルだったであろうか。ウィリアムダウドの工房を引き継いだのか、知名度はあっても中堅以下の職人だ。 フルコンをぽんぽん買い替えるお金があるなら、その半分以下のお金で最高級(装飾にもよるが)の楽器を作ってもらえる。 もちろん一流の職人でないと意味がないが。 楽器選びの腕と耳を持ったアドバイザーがいれば良いのだが、中々難しそうだ。
あと一つ残念なのが、施設の人々があまりこのホールの価値に気が付いていないことだ。 座席数から、フルオーケストラは厳しいが、他所のホールにとられている人気の演奏家や団体を積極的に呼ぶべきだろう。 ホール選びは音楽事務所の仕事だが、もっとこの素晴らしい音響をそういった場所にアピールするべきだ。 大演奏家のいない寂しい時代ではあるが、優れたホールは積極的に利用されるべきである。
某酒屋のホールで有名な、あの音響事務所やそれに類する会社が設計したホー...
Read more横浜の桜木町駅から紅葉坂を登ってしばらくすると右手に見えてくる、前川國男設計の日本初の本格的なコンサートホール✨ 今回、見学ツアーに参加させて頂いた。 戦後「こんな時こそ音楽を」と計画され開館。市民からは「希望の光」との声があがったとの事。 とても温かみのある素敵な建物だった✨ 木のホールは、何度も音響実験を繰り返して造られ、開館当時「東洋一の響き」と絶賛された。65年以上たった今も、人々に愛され続けている。 壁や、なみなみ天井にも木が貼られ、デザインも、とても素敵☆ 傷んだ壁も大切に補修されていた。 前回改修時、素敵な照明は開館当時の意匠のまま、LED化に成功されたとの事。スバラシイ。
ホワイエも、とても素敵だった。 天井は真上にあるホールの客席をそのまま活かしたガタガタ天井。 ガラス張りで、階段の間からも、周りの緑が透けて見える。 手作業で造られたコンクリート型枠の木目がついた太い柱はまるで木。 職人さんの技が光る手作りの床は、濃いグレーと赤褐色で、まるで地面。外のピロティのデザインとの流れが出来ている。 外の光が入ってとても明るく、まるで仕切りがないかの様な、自然の中に居るかの様な、外との一体感がある☆ 2つある階段は、それぞれ向きが変えられていて圧迫感がなく、段は歩きやすい高さと幅。手すりは、全くストレスがない形状で木の温もりが感じられた✨ 派手さはなく、全てを見逃していたとしても、居心地のいい癒される空間は、細部にまでこだわって創られたからこそ、なのかもしれないと気づかされた建物だった。
是非、コンサートに来て実際に音を体験してみたいと思う。
1954年 開館/前川國男氏 設計 2021年 神奈川県指定重要文化財 (建造物)指定。...
Read more神奈川県立音楽堂にエリソ・ヴィルサラーゼのリサイタルを聴きに行きました。
ここは、1954年開館という、1,050席ほどの古い中規模のホールですが、日本有数の音の良いホールと喧伝されていたところで、わたしも、大昔、ルイサダがショパンコンクールで入賞(5位だぜ、なんでだ?1位がブーニンだったのよ)になったすぐ後のコンサートを聞きに来たりした覚えがあります。
アクセスがあまりよくないし、紅葉坂の急坂をあがらないとたどりつけないという老人には優しくないロケーションなので、このごろは、とんとご無沙汰でした。(今は、公演があるときには桜木町から臨時のバスがでているみたい)
でも、ヴィルサラーゼ、あのリヒテルが最高のシューマンの演奏者といったというんですもの、聴いてみたくもなるではありませんか。(リヒテルの超絶的シューマンとはだいぶん違いましたけど)
で、紅葉坂をよちよちあがっていくと、なんとなく新しい雰囲気の音楽堂が見えてきます。なんでも2019年にリニューアルオープンしたばかりとか。 そういえば だいぶん以前(20年くらいまえか)音楽堂の取り壊しという話がでていたのを思い出しました。 なんとか、無事、生き延びたということみたい。
でも、ホールの中はほとんどかわっていないかしら。まあ音響変わちゃうと大ブーイングでしょうから、あんまり手はいれてないんでしょう。
施設的にも、あまり、昔と変わってはいないような感じですが、よいホールを壊しちゃうなんていう蛮行が現実にならなくて、めでたいというべきなんでしょう。
なんでも、近頃はバロック・オペラを積極的に取り上げているらしく、わたしも、3月の、ビオンディがやるヘンデルのオペラ「シッラ」の切符を買い...
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