ある雨上がりの昼下がり、傘を畳みながら細い路地を抜けた先に、その店はぽつんと佇んでいた。初めて見たときは、まるで時間が止まったかのような不思議な空気が漂っていて、なんとなく人を寄せつけないような静けさがあった。ちょうど小腹が空いていたので、「ここはどうなんだろう」と半ば好奇心に背中を押されて暖簾をくぐってみることにした。店内はカウンター数席、そして小さなテーブルがひとつあるだけの非常にコンパクトな造りだった。大通りから少し外れた場所にあるらしく、観光客らしい姿はあまり見当たらない。その日は平日だったにもかかわらず、常連らしき人が静かに椅子に腰掛け、ほどよい緊張感とともに箸を進めていた。細くて長い白木のカウンターに腰を下ろすと、店の中はほんのりとした蕎麦の香りが漂っていて、少しだけ立ちのぼる湯気の奥に、職人らしき存在感を持った人影が見えた。
一見、ここの店主は口数が多いタイプではなさそうだった。近くに座っていた初老の客が、一言二言なにかを囁きかけると、店主は軽くうなずき、一瞬だけ何かを確かめるように目を細めた。周囲の評判によると、非常に真摯な姿勢で蕎麦打ちに挑み、その道を貫いているらしい。一方で、接客は親しみやすいというよりはやや厳粛な雰囲気があって、人によっては「少し居心地が悪い」と感じることもあるようだ。そのとき隣に座っていた見知らぬ女性も、最初は少し緊張しているようだったが、箸を手にしてからはすっかり無言で蕎麦と向き合っていた。
いよいよ自分が注文したのは、シンプルなせいろ蕎麦(約1,300円)と季節の天ぷら盛り合わせ(約1,500円)、そして日本酒を少し(1杯800円程度)。待つ間、ふとカウンター越しに覗くと、極細の蕎麦が丁寧に盛り付けられている様子が見えた。それはまるで芸術作品のようで、やたらに華やかなわけでもないが、一本一本がまっすぐで均整がとれている。やがてせいろが目の前に差し出されると、その透明感に近い薄い色合いと、ほんのりと広がる蕎麦の香りに思わず息を飲んだ。一口すすると、喉をすっと滑り落ちる繊細な食感と、後からやってくる穀物の素朴な風味が印象的だった。ただ、その繊細さは他店の蕎麦に慣れた人にとっては、あっさりしすぎて物足りないかもしれない。自分はどちらかというと濃厚な味わいが好みなので、最初は「もう少しインパクトが欲しいかも」と感じたが、食べ進めるうちに、この控えめな風味が妙に心地良く思えてきた。
天ぷらは野菜中心で、茄子やししとう、そして季節のきのこが入っていた。衣は極めて薄く、箸でつまむとサクッと軽く割れる。塩でいただくと素材そのものの味が際立っていて、特に茄子のジューシーな甘みがたまらなかった。ただし、天ぷらは比較的量が控えめで、全部で5~6品ほど盛られていたが、価格を考えると若干割高に思えるかもしれない。酒はすっきりした銘柄らしく、蕎麦と合わせて流し込むと口内で相性の良さがふわりと広がった。周囲の話によると日本酒の品揃えもこだわりがあるらしく、好みを伝えればいくつか候補を出してくれるようだ。
ただ、気になった点もないわけではない。店内が小さいゆえか、客同士の距離感がとても近く、ちょっとした身じろぎで隣の人にぶつかってしまいそうだった。しかも、静かに食べる空間に慣れていない人にとっては、ピリッとした張り詰めた空気がやや居心地の悪さを感じさせるかもしれない。また、会計時は現金のみだったので、ついカードを使おうとして一瞬手間取ってしまった。ポジティブな面では、蕎麦をじっくり味わうには最高の場所であり、ネガティブな面では、とっつきにくさや値段に見合う満足度を感じられない人もいるかもしれない。
不思議なのは、店を出るときには微妙な後味が残る一方で、なぜか心のどこかにもう一度訪れてみたい衝動が生まれることだった。あまり愛想がいいとは言えない店主の態度には、一本筋が通った職人気質が伺え、その佇まいに敬意を払いたくなる。常連たちが黙々と通い続けているのは、結局ここでしか味わえない何かがあるからだろう。たとえそれが、慣れない人には「難解」な一杯だったとしても、自分はまたいつか、あの場所に足を運びたくなってしまう。雨が止んだ翌日の、あの路地裏の店は、きっと同じように静かな顔をして、蕎麦の香り...
Read more「会食でも使いやすいふぐ料理のお店ないかな」とリサーチしていて発見。まずは試しにと家族3名(男性1、女性2)で夕食で初訪問。 結論から言うと、会食はちょっと厳しくて、女性を誘うのも厳しいかな、という印象。
【小蝿がすごい】 とにかく小蝿がすごくてほぼその印象しかありません笑 店主の方が「玄関先に緑がたくさんあるのでどうしても。すみませんねえ。」と申し訳なさそうにおっしゃってましたが、まあ日本庭園のあるような割烹でも小蝿はいませんから、これはお店の方針でしょうね。アジアの屋台なら話は違いますが、虫が飛んでる店内で食事はしたくないものです。
【店内の会話が聞こえすぎる】 我々は玄関近くのテーブル席に案内され、他のゲストは3人〜4人の男性ゲストが2組で、1組はテーブル席、もう1組は半個室?的な区切られた空間でお食事されていました。 で、とにかくうるさい笑 忘年会シーズンなので盛り上がるのも分かるのですが、1組は下ネタ全開で、こちらは女性連れなので辟易しました(^^;; もう1組は会社の予算と個人名含む取引先の内容が丸聞こえで、途中で笑ってしまいました笑。社員教育大事!社外で個人情報話したらダメ!絶対!笑
【お食事は普通】 お食事の良し悪しはそれぞれ意見があると思いますが、個人的には中の下くらいかなと感じました。てっさがグニグニで、これはとらふぐなのかなぁ?という感想。大皿の内側の刺身が乾燥気味だったので、あらかじめ捌いて準備しておいたのか、店内が乾燥しすぎていたのか、どちらかが原因かもしれません。
と、個人的にはイマイチの体験でしたが、HPなどを見る限り、誠実で腕のある料理人の方が経営されているようなので、私の来店時がたまたま微妙だったのかもしれません。 帰り際にオーナーさんにお名刺をいただきましたが、整体院もふくめ、手広く商売されてるようでした笑 もう少し良いお店にできるだろうなぁと思いつつ、こういう個人店は一国一城の主人の個性がでるものなので、まあ仕方ないですね。
ごちそうさまでした!
・蘭コース × 3人前 ・シャンパン × 1本 ・ひれ酒 × 2 ・ミネラルウォーター(500ml) ×...
Read moreInstagram▶︎@wakuwaku_saaan
代々木にある高級懐石店です。 代々木駅から炎天下の中歩いて辿り着くと、都心にあるとは思えない趣のある佇まい。風鈴の音が清涼感を感じさせてくれます。
お盆など営業日が不定期になりそうな時期って年に何度かありますよね。電話して確認すればいいのですが、それはそれで億劫と思い一応公式HPを見てみると、営業予定を載せてくれていたので、好印象でした。
お酒がぶ飲み夫婦なので、夜に訪れたらえげつない金額になりそうなので名物のかきあげ丼を求めてランチへ。(笑) 店内も雰囲気があって良いですね。夜にカウンター席でしっぽりというのもとても良さそう。
・かきあげ天丼:1600円 丼の直径と同じくらいのかき揚げがどーんとのっているのでインパクト大。 海老、小柱、椎茸、三つ葉で構成されたかき揚げ。大ぶりにカットされていて、しっかりした身のものを使用されているので食感が良い。タレがたっぷり染みているのですが、衣のサクサク感も程よく残っているのが嬉しい。
・海鮮丼(鰹・鯛・長芋・温泉卵):1300円 お魚の鮮度が良く、上質。1300円は絶対破格なので、かきあげ丼が名物になっていますが2人以上で行くなら絶対シェアして両者の美味しさを楽しんだ方が良いですね。(それか再訪してください☺︎)
小鉢、お吸い物、甘味もついてこの値段は本当に良心的。 こだわりが随所に感じられて、やっぱり夜の部もとても気になります。お酒は控えめに、...
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